若い超新星残骸SN1006で「磁場増幅」の証拠を発見
共同通信PRワイヤー / 2024年7月24日 18時0分
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202407244052-O21-a48avT2U】
宇宙線のスペクトルを詳細に見ると、図1のように10^15eV(1PeV)付近に特徴的な折れ曲がりがあります。この構造は人間の体にたとえ、「knee(ひざ)」と呼ばれています。これまでの研究から、knee以下の宇宙線は我々の銀河系の中で生成され、knee以上の粒子は銀河系の外から到来すると考えられています。とくに、knee以下の宇宙線は星が最期におこす大爆発(超新星爆発)で、効率よく加速されると考えられています。実際、銀河系内で超新星爆発は約30年に1度の頻度で起きており、その都度10^44ジュール(J)ものエネルギーを解放します。このうち1%でも宇宙線加速に消費されれば、エネルギー収支としては十分に賄える計算となります。
ところが、個々の粒子をkneeまで加速することは、簡単ではありません。衝撃波加速の理論では、加速される粒子の最大エネルギーは
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202407244052-O4-RpXhj9dk】
と表されます。ここで、磁場強度が星間空間と同程度であればB~1 ^ 10μG(μGはは10^-6G。磁場の大きさ)、ηは1~10程度の定数です。若い超新星残骸では年齢が概ね1000年(Tage~1000yr)、衝撃波の速度は概ね数千キロ/秒(Vsh~1000-3000km/s)のため、最大エネルギーEmaxは1PeVに遠く及ばない計算となります。Kneeに到達するには、100倍から1000倍も強い磁場が必要なのです。
これまで多くの若い超新星残骸では電波からガンマ線にわたる観測が行われ、多波長スペクトルからそこでの磁場は星間磁場と同程度のB~10μGが示唆されます。一方で、若い超新星残骸 RXJ1713.7-3946(Tage=1600yr)とカシオペアA( Tage=300yr )では、X線で明るく示される「ホットスポット」が数年の間に点滅する様子が確認されました(※1)。ここで、X線(keV:キロ電子ボルト程度)は、衝撃波で加速された電子のシンクロトロン放射(※2)と考えられ、放射で冷える時間は
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202407244052-O13-9Lo2q9fM】
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