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光の力で神経細胞の活動を簡単に評価する新技術を開発

共同通信PRワイヤー / 2024年7月29日 14時0分

光の力で神経細胞の活動を簡単に評価する新技術を開発

神経細胞の活動に伴う分子変化をラマンスペクトルと機械学習で検出


ポイント

・ 光の散乱で物質の分子を調べるラマン分光法を応用し、神経細胞や神経細胞集団の活動を評価する手法

・ 神経活動から生じるスペクトルデータを正確に計測し、機械学習で神経の状態を評価する技術

・ 新薬開発や再生医療における細胞の品質管理、バイオものづくりでの微生物評価などへ応用の可能性


【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202407244056-O1-TGiy12XJ


概 要 

国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下「産総研」という)細胞分子工学研究部門 ステムセルバイオテクノロジー研究グループ 赤木祐香 研究員、木田泰之 研究グループ付、則元彩 テクニカルスタッフは、神経細胞の活動を評価できる新しい手法を開発しました。


従来、神経細胞の活動を評価する技術は指標となる蛍光プローブが必要でした。そこで、本成果ではラマン分光法という物質の中の分子を調べる光技術と機械学習を応用し、神経細胞の活動を迅速かつ正確に評価するシステムを開発しました。このシステムは単一の神経細胞だけでなく、神経細胞が集団で活動する神経核も計測できます。プローブ不要の非侵襲的な神経細胞評価システムは、再生医療や創薬における移植用細胞の品質管理や新薬の効果と毒性評価に貢献します。さらに、この技術は神経疾患の治療法の開発や神経科学の発展に役立ちます。


なお、この技術の詳細は、2024年7月3日に「Molecules」に掲載されました。


下線部は【用語解説】参照


開発の社会的背景

神経細胞は、脳や脊髄などの神経系を構成し、外部からの物理的・化学的シグナルを電気信号に変換して筋肉などさまざまな細胞や組織に伝達する役割を持っています。これまでに、神経の機能解析や病態解明を目的に、神経活動を正確に評価する技術の開発が進められてきました。たとえば、神経細胞の活動に同調するカルシウムイオンや特定物質の変動を蛍光分子で標識して計測する手法、細胞に細いガラス電極を挿入して神経の電気活動を計測する方法などがあります。しかし、これらは細胞や組織にダメージを与える可能性がありました。また、計測に手間や時間がかかる、コストが高いなどの課題もありました。このような背景から、蛍光プローブや電極を使わずに、神経細胞の活動による分子変化を簡便かつ正確に計測できる技術が求められていました。

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