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光の力で神経細胞の活動を簡単に評価する新技術を開発

共同通信PRワイヤー / 2024年7月29日 14時0分


【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202407244056-O2-F7L0k0pG


実験では、はじめにPRESSが神経細胞の活動を評価できるかを検証するため、単一の神経細胞を対象にした試験を行いました(図2上段)。脳を構成する細胞の一つであるグルタミン酸作動性神経細胞をヒトiPS細胞から作製し、計測に用いました。この神経はグルタミン酸に反応すると、細胞内のカルシウムイオンの濃度が変化し、電気活動が変化します。そこで、グルタミン酸溶液に反応した神経細胞からラマンスペクトルを取得しました。対照液(緩衝液)またはグルタミン酸溶液に反応したそれぞれ30個の神経細胞から得たスペクトル情報を、統計解析法の一つである主成分分析により次元削減して、機械学習法のサポートベクターマシンで計算しました(図2上段)。その結果、対照液に反応した神経細胞(対照細胞)とグルタミン酸で刺激した神経細胞を分類する精度は98%を示しました。これにより、PRESSはグルタミン酸溶液による神経細胞の活動の変化を高精度に検出することが確認できました。


次に、神経細胞が集団で活動する神経核の計測が可能かを検証しました(図2下段)。試験にはヒトiPS細胞から作製した自律神経細胞を用いました。自律神経細胞は興奮やリラックスといった体の活動を制御する神経系です。体内では神経細胞が集団で活動する神経核の状態で存在し、ヒトiPS細胞から作製した自律神経細胞も数十個の神経細胞が凝集した形態を示します。私たちはこの神経凝集体の機能を評価するため、PRESSの測定手法を改良し、複数の細胞からなる広い領域のラマンスペクトルを数秒間で取得できる手法を確立しました。具体的には、測定面積を最大49倍に拡大し、レーザー光の走査速度や露光時間を調整しました。また、シグナル対ノイズ比の高いスペクトルを計測するための条件を検討しました。自律神経細胞を活性化するニコチン溶液または対照液に反応した神経凝集体から、それぞれ30領域ずつラマンスペクトルを取得しました。得られたスペクトルデータを機械学習で解析したところ、対照液に反応した神経凝集体(対照群)とニコチン溶液に反応した神経凝集体を98%の精度で識別することができました(図2下段)。さらに、ニコチン刺激により神経活動に寄与する分子情報として、特定のラマンマーカーを検出することができました。具体的には、核酸などを示す波数740 cm⁻¹や1121 cm⁻¹、核酸やたんぱく質のリン酸に寄与する994 cm⁻¹、脂質に寄与する2848 cm⁻¹のピークにおいて、ニコチン反応による強度の違いを示しました。

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