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インクレチン関連薬がグルカゴン応答性インスリン分泌を低下させることをリアルワールドデータで発見

共同通信PRワイヤー / 2024年9月6日 16時30分

 このことから、グルカゴン負荷試験によるインスリン分泌促進は、グルカゴンがGLP-1受容体を介したシグナルを刺激している可能性がヒトでも確認されました。つまりDPP-4阻害薬やGLP-1受容体作動薬を使用することにより、GLP-1受容体そのものあるいはその下流におけるシグナルがグルカゴン刺激に対して抑制的な状態があると推察されました。詳細なメカニズムについては今後さらに検討が必要ですが、本研究によってインクレチン関連薬を使用している群におけるグルカゴン負荷試験では、インスリン分泌能の過小評価が懸念され、結果の解釈には十分注意が必要であることが示されました


 本研究成果は、2024年8月28日に米国糖尿病学会の機関誌「Diabetes」で公開されました。


【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202409055956-O3-018XvsRQ


【背景】

 糖尿病は、インスリン分泌の不足とインスリン抵抗性によって引き起こされる慢性疾患であり、その病態の評価には精緻なインスリン分泌能の評価が不可欠です。特に、東アジアにおける2型糖尿病は肥満によるインスリン抵抗性よりも、β細胞機能の低下によるインスリン分泌低下が病因として特徴づけられ、インスリン分泌能の評価が治療方針の決定において重要です。

 1mgグルカゴン静脈負荷試験は、残存する膵β細胞のインスリン分泌能を評価するための標準的な検査方法として古くから広く使用されています。そのメカニズムとしては、グルカゴンによりβ細胞のグルカゴン受容体を介して直接インスリン分泌を引き起こすものと考えられていました。しかし近年、グルカゴン刺激によるインスリン分泌は、グルカゴン受容体のみならずインクレチンの1種であるGLP-1の受容体をも介して引き起こされていることが主に基礎的研究で報告されており、グルカゴン応答性インスリン分泌機構の新たな理解が進んできました。一方で、糖尿病状態のヒトにおいて、同様にグルカゴン応答性インスリン分泌がGLP-1受容体を介しているか否かは明らかではありませんでした。

 2型糖尿病の治療目的の薬剤として、GLP-1受容体を介した血糖降下作用を示すインクレチン関連薬(GLP-1受容体作動薬・DPP-4阻害薬)は広く臨床上で使用されています。これらの薬剤は、GLP-1受容体を介したインスリン分泌促進メカニズムを有することから、薬剤使用時にグルカゴン負荷試験を行った場合、GLP-1受容体を介する作用が重複している、あるいはインクレチン関連薬による持続的な刺激状態が存在することから、グルカゴン応答性インスリン分泌が低下する可能性が想定されました。

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