インクレチン関連薬がグルカゴン応答性インスリン分泌を低下させることをリアルワールドデータで発見
共同通信PRワイヤー / 2024年9月6日 16時30分
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202409055956-O5-ek7nDeO8】
図2 DPP-4阻害薬使用の有無による各インスリン分泌能測定検査結果
食事負荷試験や24時間蓄尿CPR検査ではDPP-4阻害薬使用有無による検査結果に違いは認めませんでしたが、グルカゴン負荷試験時にはDPP-4阻害薬使用者は、非使用者と比較して有意にΔCPRが低下しました(DPP-4阻害薬使用者; 1.58 [0.91, 2.21] ng/ml, DPP-4阻害薬非使用者; 1.88 [1.15, 2.75] ng/ml. P<0.05; Mann–Whitney U test)
【用語解説】
*1 インクレチン/インクレチン関連薬(GLP-1受容体作動薬・DPP-4阻害薬)
インクレチンは、食事に応じて消化管から分泌される消化管ホルモンで、GLP-1とGIPがあり、膵β細胞を刺激してインスリン分泌を促進する役割を持っています。インクレチン関連薬は、このホルモンの作用を利用して血糖値を低下する糖尿病治療薬です。GLP-1受容体作動薬は、インクレチンの一種であるGLP-1の受容体に作用し、インスリン分泌を促進するとともに、グルカゴン分泌を抑制します。DPP-4阻害薬は、インクレチンを分解する酵素であるDPP-4を阻害することで、体内のインクレチン濃度を高め、血糖降下作用を持続させます。
*2 1mgグルカゴン静脈負荷試験
1mgグルカゴン静脈負荷試験は、糖尿病患者のインスリン分泌能を評価するために行われる検査です。グルカゴンは、膵臓のα細胞から分泌されるホルモンで、血糖値を上昇させる働きを持つほか、β細胞を刺激してインスリン分泌を誘導することが知られています。この試験では、被験者に1mgのグルカゴンを静脈内に投与し、その6分後の血中Cペプチドの濃度変化を測定することで、残存するβ細胞の機能を評価します。特に、インスリン分泌がどれだけ刺激されるかを見ることで、糖尿病の進行度や治療の効果を確認するために用いられます。
*3 傾向スコアマッチング法
傾向スコアマッチング法は、観察研究において、治療群と対照群の間のバイアスを減らすために用いられる統計手法です。この方法では、各被験者に「傾向スコア」と呼ばれる値が割り当てられます。傾向スコアは、年齢、性別、基礎疾患などの共変量に基づいて計算されます。治療群と対照群の傾向スコアを一致させることで、観察データにおける選択バイアスを減らし、因果関係の推定精度を向上させることができます。この手法は、無作為化試験が難しい場合に特に有用です。
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