インクレチン関連薬がグルカゴン応答性インスリン分泌を低下させることをリアルワールドデータで発見
共同通信PRワイヤー / 2024年9月6日 16時30分
今回、インクレチン関連薬使用時のグルカゴン負荷試験結果への影響について、インクレチン関連薬非使用時と比較して低下するか否かを検討するため、
【①GLP-1受容体作動薬使用前後のグルカゴン負荷試験結果の変化】
【②DPP-4阻害薬使用者と非使用者におけるグルカゴン負荷試験結果の違い】
上記2課題についての後方視的な解析を行いました。
【研究成果】
今回の検討では、GLP-1受容体作動薬使用前と比べ、使用後に有意にグルカゴン応答性インスリン分泌が低下することが示されました(図1)。また、DPP-4阻害薬使用者と非使用者について、それぞれ傾向スコアマッチング法(*3)で対象者背景を揃えた上で各種インスリン分泌試験の解析を行ったところ、食事負荷試験や24時間蓄尿Cペプチド測定などのインスリン分泌能測定法では2群間に有意差がないにも関わらず、グルカゴン負荷試験時のグルカゴン応答性インスリン分泌がDPP-4阻害薬使用者で有意に低下することが示されました(図2)。
本研究成果から、インクレチン関連薬使用時にグルカゴン負荷試験によるインスリン分泌能の過小評価が懸念されることを示されました。さらにそのメカニズムとして、グルカゴン及びインクレチン関連薬によるGLP-1受容体への影響が想定されました。糖尿病においてもグルカゴン応答性インスリン分泌にGLP-1受容体が関与することを示唆する初のリアルワールドエビデンスと考えられました。
【今後の予定】
今回の検討は、単施設で後ろ向きにインクレチン関連薬とグルカゴン負荷試験検査値の関連について示したものであり、今後は基礎的な研究を通じて、グルカゴンによる膵島におけるインスリン分泌機構の解明を進める予定をしております。
また、実臨床におけるグルカゴン負荷時のインスリン分泌評価について、中長期的な実臨床における意義について再検討します。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202409055956-O4-M3F26X0z】
図1 GLP-1受容体作動薬使用前後のグルカゴン応答性インスリン分泌
GLP-1受容体作動薬使用前に比較して使用後にグルカゴン負荷試験時のΔCペプチド(CPR)(*4)が有意に低下しました (1.40 [0.98, 2.38] ng/ml→0.89 [0.33, 1.31] ng/ml. P<0.01; Wilcoxon signed-rank test)
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