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糖鎖の生合成を糖鎖自身が制御する仕組みを発見

共同通信PRワイヤー / 2024年9月30日 10時0分

 本研究成果は、現地時間2024年9月27日付で『iScience』に掲載されました。また本研究は、文部科学省の大規模学術フロンティア促進事業「ヒューマングライコームプロジェクト」により支援を受けました。


 

【研究背景】

 糖鎖1)とは、グルコースなどの糖(動物では約10種類の糖が存在)が枝分かれしながら鎖状につながったもので、多くはタンパク質や脂質などに結合した状態で存在しています。動物では、体内の半数程度のタンパク質に糖鎖が付いていると考えられており、糖鎖を持つタンパク質は糖タンパク質と呼ばれています。タンパク質に付いている糖鎖には様々な形のものがあり、タンパク質ごとに形が異なることや、同じタンパク質でも、健康なときと病気のときとで糖鎖の形が変化することが知られています。こうした疾患特異的な糖鎖の変化は、実際に医療の現場でがんの診断などに使われています。また、特定の糖鎖が、がんやアルツハイマー病など様々な疾患の発症や進行に重要な役割を果たすことから、糖鎖を標的とした新たな治療薬の開発が期待されています。

 タンパク質に付く糖鎖は、細胞の中で糖転移酵素2)(糖鎖合成酵素)と呼ばれる酵素の働きによって作られます。ヒトの体内には、約180種類ほどの糖転移酵素が存在し、それらの働きが厳密に制御されることで膨大な種類の糖鎖構造を作ります。しかし、個々の酵素の働きを制御する仕組みはよくわかっておらず、生物がどのように膨大な種類の糖鎖の量を調節しているかはまだあまりよくわかっていません。糖転移酵素のうち、GnT-IVaとGnT-IVb 3)は、タンパク質に付いたN型糖鎖4)と呼ばれる糖鎖に作用し、糖鎖の枝分かれ構造を作ります(図1)。これまでの研究で、GnT-IVaは血糖調節に重要な膵臓に多く存在し、GnT-IVaを欠損させたマウスは高血糖やインスリン分泌不全などの糖尿病様の症状を示すことから、GnT-IVaが作る糖鎖は糖尿病の発症・進行と関係があることがわかっています。


 【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202409267092-O5-G3o00JCF


 このGnT-IVaとIVbは、他の糖転移酵素とは異なる構造を持っており、糖鎖を作る触媒5)ドメイン6)の他に、特定の糖鎖と結合するレクチン7)ドメインを持っていることが、木塚教授らの最近の研究でわかってきました(図2A)(https://igcore.thers.ac.jp/wp_control/wp-content/uploads/79e08b70c6b99f0115ad4429a1b80905-2.pdf)。しかし、このレクチンドメインが持つ役割についてはよくわかっていませんでした。

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