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糖鎖の生合成を糖鎖自身が制御する仕組みを発見

共同通信PRワイヤー / 2024年9月30日 10時0分


【研究成果】

 本研究ではまず、GnT-IVaとIVbのレクチンドメインの役割を明らかにするために、レクチンドメインが糖鎖と結合するのに不可欠な2つのアミノ酸(D445、W513)を変異させ、レクチンドメインが糖鎖と結合できないGnT-IVaの変異体8)を作りました(図2A)。この変異体を用いて酵素の活性を測定したところ、遊離のN型糖鎖に対する枝分かれ活性は、通常のGnT-IVa (WT)とレクチン活性のない変異体との間で大きな変化はありませんでしたが(図2B左)、N型糖鎖を持つ糖タンパク質に対する活性は、これらの変異体で劇的に低下していました(図2B右、図2C)。このことから、GnT-IVaやIVbのレクチンドメインは、糖タンパク質に対する酵素活性に不可欠であり、枝分かれ構造を作るべき基質9)糖タンパク質を認識する働きがあることが示されました。

 また、GnT-IVaやIVbは、それら自身も糖タンパク質であり、糖鎖が付いています。


【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202409267092-O6-8A5X5Wp5


GnT-IVaには2箇所のN型糖鎖が付いており、1つはレクチンドメインに付いています(N449に付いた糖鎖)(図3A)。さらにこの糖鎖は、レクチンドメインの糖鎖認識部位(図3A, *)と極めて近い位置にあります。そこで木塚教授らは、N449に付いた酵素自身のN型糖鎖が、レクチンドメインの糖鎖認識部位と結合し、レクチンドメインの機能を阻害するのではないかと仮説を立てました。


【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202409267092-O7-1LyK77D5


 実際に、レクチンドメインが酵素自身の糖鎖と結合しているかどうかを明らかにするために、分子動力学シミュレーション10)という方法を使いました。その結果、N449に付いた糖鎖は、糖鎖の構造に依存してレクチンドメインの糖鎖認識部位と結合することがわかりました(図3B)。特に、N449に付いた糖鎖の形が、GnT-IVaやIVbが作る枝分かれ構造を持ったN型糖鎖であるとき、N449に付いた糖鎖とレクチンドメインとの結合が強いことがわかりました。以上から、GnT-IVaと-IVb自身に付いたN型糖鎖は、レクチンドメインに結合して機能を抑える、自己リガンド11)として働きうることがわかりました。

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