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ヒト常在菌の個別解析、新時代へ

共同通信PRワイヤー / 2024年10月3日 12時0分


(1)これまでの研究で分かっていたこと

ヒト常在菌は人間の健康に重要な役割を果たしています。これまでの研究で、以下のことが分かっていました:

1.口腔内や腸内には多数の細菌が存在し、複雑な生態系を形成しています。

2.ヒト常在菌の構成は個人によって異なり、健康状態や疾病と関連があります。

3.メタゲノム解析は、常在菌の全体的な構成を調べることができます。

4.抗生物質の使用が常在菌叢に影響を与え、薬剤耐性菌の出現につながる可能性があります。


しかし、これまで常在菌研究に使われてきたメタゲノム解析では全ての細菌をひとまとまりにDNAを分析するため、個々の細菌が持つ遺伝子の構成などを詳細に調べることが困難でした。そのため、可動性遺伝因子を介した細菌間での遺伝子のやり取りや、それによる抗生物質耐性の細菌種を超えた広がり方など、重要な詳細が不明のままでした。


(2)今回新たに実現しようとしたこと、明らかになったこと、そのために新しく開発した手法

本研究では、革新的なシングルセルゲノム解析技術を用いて、がん・炎症性腸疾患などの患者と健常者からなる日本人51名の被験者を対象に、ヒト常在菌の個別解析を大規模に行いました。主な成果は以下の通りです:

1.世界最大規模のシングルセルゲノムデータセットの構築:3万個の口腔内・腸内細菌の個別ゲノム解析を実施し、高品質なゲノム情報を整理して公開しました。

2.従来の手法と組み合わせて常在菌叢を解明:シングルセルゲノム解析では従来のメタゲノム解析では得られなかった種が多数獲得されました。両者の解析法を組み合わせることが常在菌叢の解明に効果的であることが分かりました。

3.抗生物質耐性遺伝子の伝播状況の解明:個々の細菌レベルで抗生物質耐性遺伝子の分布を解析しました。プラスミド※6やファージ※7といった可動性遺伝因子が伝播を担っている可能性を調査しました。


これらの成果を可能にしたのは、SAG-gel技術※8と呼ばれる新しいシングルセルゲノム解析手法です。SAG-gelは責任著者の細川が2018年に創業した早稲田大学発スタートアップであるbitBiome社にてbit-MAP®として商用化されており、現在、国内外の微生物研究者に広く利用されています。


この技術の特徴は以下の通りです:

● 個々の細菌をゲル中に封入し、個別にゲノムを増幅・解析します。

● 高い精度で多数の細菌ゲノムを同時に分析できます。

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