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ヒト常在菌の個別解析、新時代へ

共同通信PRワイヤー / 2024年10月3日 12時0分


(7)用語解説

※1 ヒト常在菌:

人体に常時生息している微生物の総称です。皮膚、口腔、腸管、膣などの様々な部位に存在し、それぞれの環境に適応した細菌群が形成されています。これらの細菌は単に存在するだけでなく、人体の健康維持に重要な役割を果たしています。例えば、病原菌の侵入を防いだり、栄養素の吸収を助けたり、免疫系の発達を促したりします。


※2 シングルセルゲノム解析:

個々の細胞から遺伝情報(ゲノム)を読み取る最先端の技術です。従来の手法では、多数の細菌が混ざった状態でしか分析できませんでしたが、この技術により個別の細菌の詳細な遺伝情報を得ることが可能になりました。これにより、稀少な細菌種の発見や、細菌間での遺伝子のやりとりの詳細な観察が実現し、マイクロバイオームの理解が大きく進展しています。


※3 メタゲノム解析:

環境中(例えば腸内)の全ての微生物のゲノムを一括して解析する手法です。サンプル中の全DNAを抽出し、それを一度に解読します。個々の細菌を区別することは難しいですが、その環境に存在する微生物の種類や、それらが持つ遺伝子の全体像を効率的に把握することができます。腸内細菌叢の全体的な構成を知るのに適していますが、稀少な種の検出や細菌間の相互作用の理解には限界があります。


※4 可動性遺伝因子:

細菌間で移動可能な遺伝物質のことです。主にプラスミドやファージなどがあります。これらは細菌の主要な遺伝情報(染色体DNA)とは別に存在し、細菌間で容易に移動することができます。抗生物質耐性遺伝子などの重要な遺伝情報を運ぶ「運び屋」の役割を果たすため、細菌の進化や薬剤耐性の拡散において重要な役割を果たしています。


※5抗生物質耐性遺伝子:

細菌が抗生物質の効果を無効化するために持つ遺伝子のことです。これらの遺伝子により、細菌は抗生物質の存在下でも生存・増殖が可能になります。抗生物質の過剰使用などにより、これらの遺伝子を持つ細菌(薬剤耐性菌)が増加し、深刻な医療問題となっています。本研究では、これらの遺伝子がどのように細菌間で広がっているかを、個々の細菌レベルで初めて詳細に解析することに成功しました。


※6 プラスミド:

細菌の染色体DNAとは別に存在する小さな環状のDNA分子です。プラスミドは自己複製能力を持ち、細菌間で容易に伝達されることがあります。多くの場合、抗生物質耐性遺伝子や毒素遺伝子など、細菌の生存に有利な遺伝子を運びます。本研究では、プラスミドを介した抗生物質耐性遺伝子の伝播を個々の細菌レベルで観察することに成功し、耐性遺伝子がどのように広がっているかをより詳細に理解することができました。

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