磁性元素を含む新しい超伝導体を発見! ~学生実験の自由テーマの中で発見された超伝導体~
共同通信PRワイヤー / 2024年12月12日 14時0分
概要
東京都立大学大学院理学研究科の島田竜之介(大学院生、以下島田大学院生)、山下愛智助教、水口佳一准教授、北海道大学大学院工学研究院の三浦章准教授、広島大学先進理工系科学研究科の森吉千佳子教授、ローマ大学サピエンツァ校Naurang L. Saini准教授らの研究グループは、遷移金属ジルコナイドFe1-xNixZr2を新たに合成し、超伝導体であることを見出しました。超伝導は低温で生じる量子現象であり、電気抵抗の消失などの性質を示し、超伝導磁石や超伝導ケーブル、超伝導デバイスなど様々な場面で応用されています。本研究では、どちらも超伝導体でないFeZr2とNiZr2に着目し、その Fe1-xNixZr2 固溶系[1]を作製することで、超伝導が発現することを見出しました。また、 Fe1-xNixZr2 固溶系は、本研究で初めて合成されたものです。島田大学院生が学部3年次の学生実験(物理学実験第四(2022年次開講))で、山下助教の指導のもと行った自由テーマ実験での発見を出発点とし、ローマ大サピエンツァ校での実験留学を経て、修士論文の研究テーマに発展させました。
本研究成果は、11月7日(現地時間)付けでElsevierが発行する英文誌Journal of Alloys and Compoundsに発表されました。本研究の一部は、東京都立大学とローマ大サピエンツァ校の協定、科研費・海外連携研究(研究代表:水口佳一、課題番号:23KK0088)、JST戦略的創造研究推進事業ERATO「内田磁性熱動体プロジェクト」 (研究総括 : 内田健一、課題番号 : JPMJER2201)、東京都立大学創発未来社会研究プロジェクトおよび東京都高度研究(研究代表:水口佳一、課題番号:H31-1)の支援を受けて行われました。
ポイント
・磁性元素である鉄(Fe)とニッケル(Ni)を含む新しい超伝導体Fe1-xNixZr2を発見。
・超伝導体でないFeZr2とNiZr2を固溶させることで超伝導が発現する。
・NiZr2の磁気秩序近傍での非従来型超伝導の可能性がある。
研究の背景
超伝導[2]は低温で生じる量子現象であり、電気抵抗の消失などの性質を示し、超伝導磁石や超伝導ケーブル、超伝導デバイスなど様々な場面で応用されています。現在の超伝導応用では、4 K(ケルビン)[3]以下の低温で動作するものが主流ですが、液体窒素温度(77 K)で超伝導状態になる高温超伝導体[4]を利用した超伝導応用の研究開発も進んでいます。高温超伝導のメカニズムは物質の磁気秩序[5]と関連があり、磁性元素を含んだ物質や磁気秩序を示す物質の周辺での高温超伝導探索が進められてきました。2008年には鉄系高温超伝導体[6]が発見され、さらにごく最近の研究で、ニッケル系酸化物[7]での高温超伝導が発見され、新物質探索が活気を帯びています。
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