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磁性元素を含む新しい超伝導体を発見! ~学生実験の自由テーマの中で発見された超伝導体~

共同通信PRワイヤー / 2024年12月12日 14時0分


【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202412101425-O3-Yqjp68N7

図1.(a) Fe1-xNixZr2の結晶構造図 (b) X線回折パターン (c) 格子定数aおよびcのNi置換量依存性


【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202412101425-O4-47dCYHw5

図2.(a) 磁化率の温度依存性(常伝導状態の磁化率をゼロに規格化し比較)。ZFCはゼロ磁場中冷却を意味する。(b) 超伝導転移温度のNi置換量依存性


【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202412101425-O5-JU0k2I85

図3.NiZr2の磁化の温度依存性。磁気秩序と思われる異常が30 K付近で観測された。FCは磁場中冷却を意味する。


研究の意義と波及効果

 本研究では、磁性元素である鉄とニッケルを含む超伝導体を発見し、磁気秩序近傍での超伝導の研究対象候補として新たな物質系を提案しました。現時点での転移温度は低いですが、今後の超伝導機構解明研究から新たな非従来型機構が見出され、超伝導転移温度が上昇する可能性が期待できます。また、超伝導体でない2つの物質を固溶させることで超伝導が発現したことや、本物質が学生実験の中で発見されたことは、世の中には知られていない超伝導体が多く存在していることを示しています。


(用語解説)

[1]固溶系

異なる元素を物質中の原子サイトに混在させ、合金のような状態にした物質系を固溶系と呼ぶ。


[2]超伝導(超伝導転移温度)

低温で生じる量子現象であり、電気抵抗の消失、完全反磁性など特徴的な性質を示す。物質が超伝導状態に転移する温度を超伝導転移温度と呼ぶ。超伝導状態では、電子がクーパー対(電子対)を形成する。


[3]K(ケルビン)

絶対温度の単位。0℃は約273 Kである。


[4]高温超伝導体

比較的高い超伝導転移温度を有する超伝導体の総称。39 Kの転移温度を持つMgB2や、50 Kを超える転移温度を持つ鉄系超伝導体、さらに液体窒素温度(77 K)をはるかに超える転移温度を有する銅酸化物系がある。最近の研究では、水素を含む超伝導体において、超高圧下ではあるが200 Kを超える超伝導転移温度が見出されている。


[5]磁気秩序

物質の持つスピンの性質を磁性と呼び、スピンが秩序化して整列する現象を磁気秩序と呼ぶ。スピンが同じ向きに配列した強磁性秩序や、上向きと下向きスピンが交互に整列した反強磁性秩序などが典型例である。

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