地下微生物が天然ガスの起源を偽装!?
共同通信PRワイヤー / 2024年12月20日 4時0分
※本プレスリリースでは、化学式や単位記号の上付き・下付き文字を、通常の文字と同じ大きさで表記しております。
正式な表記でご覧になりたい方は、産総研WEBページ
( https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2024/pr20241220/pr20241220.html )をご覧ください。
研究の社会的背景
天然ガスは石油や石炭に比べてクリーンな化石エネルギー資源であり、世界の総エネルギー消費の約24%を担っています*。一方で、天然ガスの主成分であるメタンは強力な温室効果ガスでもあり、地球規模でのメタンの発生や移動、集積、拡散のメカニズムを理解することは、天然ガスの資源量を正確に評価することだけでなく、気候変動問題への対応にもつながります。
地下環境で作られるメタンは、地中温度が80 ℃以下の比較的浅い地層で微生物が作る「生物起源」と、それよりも高温・高圧の深部地下で有機物の熱分解により生成する「熱分解起源」に大別されます。これらはメタン(分子式:CH4)の炭素や水素の安定同位体シグナル(例えば、12Cと13C、1Hと2Hの割合)を指標にすることで生成起源や生成温度を推測することが可能で、メタンハイドレートなどの天然ガス鉱床の探査や湖沼・水田などのメタンガス発生源の特定などに広く使われてきました。しかし、地下の生物起源メタンの安定同位体シグナルが実験室でのメタン菌培養で再現されたことはなく、同位体地球化学と微生物学との解釈が一致しないという本質的な問題がありました。
研究の経緯
産総研では、油田・ガス田・石炭層を対象に地下微生物による天然ガス生成ポテンシャルの評価とその生成メカニズムの解明を目指す研究を行ってきました(2016年10月14日、2013年6月13日 産総研プレス発表)。
そこで今回、産総研では地球化学の専門家チームを擁する地圏資源環境研究部門と微生物学の専門家チームを擁する生物プロセス研究部門がタッグを組み、エネルギープロセス研究部門(研究開始当時はメタンハイドレート研究センター)の協力の下、15年の研究期間をかけてこの問題の解決に取り組みました。
なお、本研究の一部は、独立行政法人 日本学術振興会 科学研究費補助金(18H05295, 20H00366, 21H04670, 22H05152, 23H00387, 24H00765)による支援を受けて行いました。
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