1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. プレスリリース

量子コンピューターの大規模化を支える材料評価技術

共同通信PRワイヤー / 2025年1月16日 0時0分


図1左に開発した平衡型円板共振器の断面図を示します。この手法では、金属円板周辺に局在した共振モードの特性を上下に配置された同軸ポートを介して測定し、材料パラメーターを評価します。今回、測定対象である高周波基板材料(銅箔/誘電体シート/銅箔)の両面に円板と励振孔のパターンを加工し、2つの基板を向き合わせて配置しました。このセットアップでは、共振特性に影響を与える誘電体シート/金属界面が全て測定対象となっています(図1左の赤線を参照)。その結果、既存手法で誤差要因となっていた誘電体シート/金属界面の空隙の影響を排除し、熱ひずみが加わる低温環境下でも高精度な材料パラメーターの評価を可能にしました。反射・伝送特性評価を低温環境下で行う技術を材料パラメーターの評価にも応用し独自の測定系を構築しました(図1右)。ここでは、誘電体シートの厚さが異なる2つの平衡型円板共振器を高周波スイッチで切り替えて測定しました。これにより、測定系の温度変化などに起因する誤差要因を排除し、低温環境下において高精度な材料パラメーターの決定を可能にしました。


【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202501142811-O2-M0Q5578V


開発した技術の有用性を実証するために、市販の高周波基板材料を10温度点(4 K, 10 K, 20 K, 30 K, 50 K, 70 K, 100 K, 150 K, 200 K, 300 K)で評価しました。図2左には測定した導電率を周波数の関数として示します。今回、温度の低下に伴って導電率の周波数依存性が顕著になるという結果を得ました。さらに、この振る舞いが銅箔の界面粗さを考慮したモデルに従うことを明らかにし、フィッティングによる界面粗さの定量評価に成功しました(図2右)。一般に、低温環境下では導電率の増加によって高周波伝送路の導体損失は減少すると考えられていました。しかし今回、導電率の増加に伴う表皮深さの減少によって、界面粗さが導体損失の主要因になることが明らかとなりました。図3には比誘電率と誘電正接の測定結果を示します。測定された比誘電率は20 K以下でほぼ一定の値となるのに対し、誘電正接は温度に対して単調に減少します。このような温度依存性の情報は4 K以下での高周波基板材料の性能を予測する上で有益な情報となります。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください