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酸素と水から環境にやさしい酸化剤を創出! 安全な水と衛生のための持続可能なソリューション

共同通信PRワイヤー / 2025年1月24日 14時0分

酸素と水から環境にやさしい酸化剤を創出! 安全な水と衛生のための持続可能なソリューション

図3 水処理に十分な濃度(5,000 mg/L以上)のH₂O₂水溶液の連続合成

1.概要

 東京都立大学大学院都市環境科学研究科の天野史章教授と榎本和眞(大学院生)らの研究グループは、酸素と水を使って環境にやさしい酸化剤[1]である「過酸化水素( H₂O₂ )」を効率的に合成する新しい技術を開発しました。この技術は、再生可能エネルギーを活用して二酸化炭素を一切排出せずに H₂O₂ 水溶液を製造するものです。 H₂O₂ は消毒や水処理など幅広い用途に利用され、その分解後には水と酸素しか残らないため環境負荷が極めて低い化合物です。持続可能かつ経済的な方法で H₂O₂ を製造できれば、地球規模の水や衛生の課題解決への可能性が広がります。

  H₂O₂ は、消毒、漂白、廃水処理など多方面で使用される重要な物質ですが、従来の製造工程では大量の温室効果ガスが排出されるという課題がありました。また、電解反応による製造方法では電解質(イオンや酸・塩基)などの不純物が混入し、使用用途が制限されることも問題でした。

 今回、東京都立大学の研究グループは、多孔質な構造をもつ電解質膜[2]を活用して、原料となる酸素と水がそれぞれ高濃度で電極触媒に近接できる新しい電解反応装置を設計しました。この反応装置を用いることによって、空気中の酸素と水だけを原料として、不純物を含まない H₂O₂ 水溶液を高効率で合成することに成功しました。さらに、50時間以上にわたり濃度5,000 mg/Lの H₂O₂ 水溶液を連続的に製造できることを実証しました。

 この技術は、分散型の再生可能エネルギーを活用でき、どこでも容易に入手可能なありふれた原料のみを使うため、必要な場所で必要な濃度や量だけを製造できる地産地消型の取り組みを推進するものです。 H₂O₂ の製造時だけでなく、在庫管理や配送の際のC O₂ 排出も削減します。安価な H₂O₂ 水溶液は、SDGsの目標6「すべての人々に水と衛生の利用可能性を確保する」に対する解決策(ソリューション)として期待されます。

 本研究成果は、2025年1月23日付けでElsevier社が発行するオープンアクセス誌「Materials Today Catalysis」でオンライン無料公開されました。


2.ポイント

■多孔質電解質膜を用いた独自の装置設計により、酸素を効率よく反応させ不純物ゼロの H₂O₂ を合成

■水処理に十分な濃度である5,000 mg/Lの H₂O₂ 水溶液を長時間にわたって連続で生成することを実証

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