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酸素と水から環境にやさしい酸化剤を創出! 安全な水と衛生のための持続可能なソリューション

共同通信PRワイヤー / 2025年1月24日 14時0分

 従来の燃料電池や水電解装置では、電解質膜を通じた他の物質の移動(クロスオーバー)がエネルギー効率を低下させる課題として知られていました。しかし、今回の研究では、このクロスオーバー現象を逆手に取り、新しい電解反応装置の設計に活用しました(図2)。酸化反応を行う陽極(アノード)と還元反応を行う陰極(カソード)の二つの領域を仕切るための電解質膜の代わりとして、新たに開発した多孔質電解質膜を導入しています。陽極には水蒸気を含む湿らせた酸素ガスを供給し、水蒸気を分解して酸素を発生させます。この反応を促進する触媒としては、酸化イリジウムを使用しました。このとき陽極に供給した酸素は、多孔質電解質膜を透過して陰極に拡散します。陰極には純水を供給し、酸素分子の還元で生成したH₂O₂を回収します。この酸素分子の還元反応にはコバルト触媒を採用しました。また、生成されたH₂O₂が効率よく回収できるよう陰極側の親水性を高める工夫を施しました。なお、多孔質電解質膜の撥水性が、純水が陽極に移動することを防いでいます。これらの設計により、安定した反応環境が維持され、酸素の還元反応による H₂O₂ 合成の生成工程が効率化されました。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202501213166-O3-6Z1sDd6k】 図1 気体や水素イオンは通すが液体の水はほとんど通さない多孔質電解質膜

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202501213166-O4-mUO1x3AR】 図2 不純物を含まない H₂O₂ 水溶液を効率よく合成するために独自設計された電解反応装置


 この新しい電解反応装置により、電流密度5.0 mA/cm²において79%という高いファラデー効率[3]で H₂O₂ を合成することに成功しました。さらに、電流密度40 mA/cm²の条件下で、5,000 mg/L以上の濃度の H₂O₂ 水溶液を50時間以上連続して合成することができました(図3)。これは、多孔質電解質膜を通じて供給される酸素ガス、および陰極に供給される純水が、コバルト触媒の近傍で安定な三相界面[4]を形成し、その反応環境を維持できることを示しています。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202501213166-O5-07ABL6Z2】 図3 水処理に十分な濃度(5,000 mg/L以上)のH₂O₂水溶液の連続合成

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