2021年福徳岡ノ場噴火に伴う漂着軽石の1年の記録
共同通信PRワイヤー / 2025年1月22日 14時0分
フェイズ3では、漂着量は減少しますが、サイズと円磨度の値に大きな変化は認められません。洋上での軽石の拡散が引き続き生じていることを示しています。一方、付着生物についてはフェイズ3で大きく変化し、その種類と生物付着している軽石の割合が急増します。付着生物の種類に関しては、様々な生物の幼体と接近する機会が増加したことが挙げられます。洋上での拡散により軽石同士の衝突が減少すると、衝突による円磨・破片化によって付着した生物が軽石から取り除かれることが少なくなります。こうして速やかに付着・成長できる環境が形成されたため、生物が付着する軽石の割合が増加したと考えられます。このような視点での付着生物の挙動は本研究で初めて示したものであり、多地点の軽石採取と漂着量・サイズ・円磨度を同じ時系列で比較したことによってわかったものです。
軽石の浮遊実験では、海岸に漂着したFOB軽石は一向に沈まなかったため、FOB軽石を割ったものと気象庁により噴火から9日後に採取されたものを使用しました。その結果、その多くが1年以上浮遊したままであり、2年を超えても浮遊し続けることがわかりました。この結果は、FOB軽石の内部構造を調べた既存研究とも整合的であり、2021年FOB噴火に伴う軽石が長期間浮き続けられることを示しています。また、概算ではありますが、南西諸島の漂着軽石の最大量(各島の単位面積当たりの堆積量の最大値を使用し、海岸線に10m幅で一様に堆積したと仮定)を計算したところ、2021年FOB噴火で噴出した物質の1%以下であることがわかりました。このことは軽石漂流のシミュレーション結果とも整合的であり、南西諸島であれほどの量が漂着したにもかかわらず、その量は噴出した物質のごく一部であることを示します。それ以外の物質は、洋上での円磨・破片化・生物付着によって沈降したり、現在も洋上に拡散して浮遊したり、海岸に漂着したりしているものと推定されます。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202501213170-O4-laTnsman】
シンボルはサンプル採取場所を示し、その横に*があるものはサンゴが付着した FOB軽石が認められた地点です。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202501213170-O2-kukZU04z】
FOB軽石の種類と付着生物
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