外来アリ類防除に広く利用できる 植物由来で生分解性の駆除剤を開発
共同通信PRワイヤー / 2025年1月29日 14時0分
・生分解性のため地面にまいた後、回収しなくても環境への残留の心配がない上、外来アリ駆除効果は従来の合成樹脂製のものと同等であり、持続可能な防除ツールとして活用が期待される。
3.研究の背景
近年、外来アリの発見や大量発生、害虫化が日本各地で問題になっている。特定外来生物ヒアリやコカミアリはまだ定着していないが、アルゼンチンアリとアシジロヒラフシアリが住宅地に定着して大きな家屋侵入被害が生じている。アシジロヒラフシアリ(学名:Technomyrmex brunneus)は東南アジアから東アジアに広く分布し、日本国内では南西諸島などで知られていた。日本国内の分布は人為的な移入によるものとされる。本種は林の縁の比較的乾燥した環境に生息し、立木の腐朽部や枯れ枝、地上の比較的乾いた構造物の隙間などに多数の巣を作り、行列を作って行き来する。野外では採餌活動は主に植物上で行われ、アブラムシやカイガラムシの分泌する甘露、花や花外蜜腺から分泌される蜜などを好んで集める。
2011年ごろから、日本国内の既知の定着地から遠く離れた伊豆諸島の八丈島で、本種のスーパーコロニー(※1)が島全体に広まり、住宅地に進出して家屋侵入被害が目立つようになった。これを受け、2020年から東京都立大学の江口克之准教授と寺山守客員研究員、森林総合研究所の砂村栄力主任研究員らは八丈町とアシジロヒラフシアリ防除のためのプロジェクトチームを立ち上げた。
八丈島では、暖かい時期の頻繁な家屋侵入と、それによって引き起こされる屋内電気設備の故障が最も大きな問題となっているため、集落内での本種の個体密度を可能な限り低くすることが当面の目標である。一方で、八丈島においてアシジロヒラフシアリが在来森林植生へ進出し始めていることが確認されており、固有種・亜種の昆虫類への悪影響も懸念される。本種は環境省の「生態系被害防止外来種リスト」の新規候補種にも挙がっており、生態系リスク、他の地域への拡大リスクを鑑みると、全島的な根絶も視野に入れる必要がある。
外来アリ類の防除においては、ベイト剤(毒餌)の設置が最も現実的な手段である。働きアリに好まれる喫食成分、遅効性の殺虫成分(餌を見つけた働きアリが巣仲間を動員する前に死んでしまわぬために、遅効性であるが強力な殺虫成分が必要)、それらを包含・担持する基材からなるベイト剤を設置し、働きアリに巣へと持ち帰らせ、巣ごと駆除するという手段である。しかし、アシジロヒラフシアリを含む一部のアリ種では、固形物の持ち帰りや、液体物を消化管の一部(そのう)に溜めて持ち帰り、口移しで巣仲間(幼虫や女王を含む)に与えるという方法での栄養の分配を行わないことがすでに知られているため、薬剤がコロニー内で水平伝搬することは期待できない(※2)。その場合、標的アリ種の働きアリをより一層効果的にベイト剤に集め、駆除することでコロニー全体を餓死させるという戦略を取ることになり、水平伝搬効果を前提とする市販のベイト剤を上回る、標的アリにとって「魅力的な」ベイト剤の開発が、駆除戦略の成否の鍵を握ることになる。
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