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外来アリ類防除に広く利用できる 植物由来で生分解性の駆除剤を開発

共同通信PRワイヤー / 2025年1月29日 14時0分

我々は、飼育下や野外での実験を重ね、ポリアクリル酸ナトリウム系(ACR)の高吸水性ポリマーを基材とするハイドロジェルベイト剤を新規開発し、広域的な試験防除で高い効果を確認した(2022年6月24日プレスリリース「外来家屋害虫アシジロヒラフシアリに対するハイドロジェルベイト剤の新規開発と住民参加型防除プログラムの効果の評価について」)。

 一方で、アシジロヒラフシアリは定着から時間が経ち、高密度化するに従い、在来生態系へ進出することが知られており、八丈島でもその予兆が捉えられている。ハイドロジェルベイト剤の設置を自然度の高い地域でも行うためには、低環境負荷の製剤レシピや設置方法の開発も必要である。

そこで、本研究では、株式会社アグリマート、イカリ消毒株式会社を共同研究チームに招き、彼らの専門的な技術を取り入れながら、生分解性ハイドロジェルベイト剤の新規開発に取り組んだ。


4.研究の詳細

【MFCハイドロジェルベイト剤の作成】

 MFCは原料となるセルロースを化学的に処理した後に、物理的にほぐすことによって製造するが、本研究では製造方法を変えて特性が異なる3種類のMFCを使用した。TEMPO酸化という化学的な処理を施し、その後強い物理的な力を加えてほぐしたもの(T-MFC(H))と、比較的軽微な力を加えてほぐしたもの(T-MFC(L))、これらとは異なるカルボキシルメチル化という化学的な処理を施した後に、強い力を加えてほぐしたもの(C-MFC)の3種類である。

【MFCハイドロジェルベイト剤の動員効果試験】

 初めに、殺虫成分としてピリプロール(0.001%)を配合した場合としない場合のMFC(T-MFC(L))およびACRハイドロジェルベイト剤(喫食成分は20%ショ糖)、20%ショ糖を含ませた脱脂綿、水の合計6種類の餌に動員されるアシジロヒラフシアリの働きアリ数を測定した。その結果、MFCとACRで同等の動員効果(働きアリを集める効果)が見られた。またピリプロール0.001%濃度では働きアリに対する忌避効果(薬剤を避ける効果)は見られなかった。ついで、殺虫成分を配合しない場合での、3種類のMFC(T-MFC (H)、T-MFC (L)、C-MFC)、ACRハイドロジェルベイト剤(喫食成分は20%ショ糖)、20%ショ糖を含ませた脱脂綿、水の合計6種類の餌に動員されるアシジロヒラフシアリの働きアリ数を測定した。その結果、T-MFC (H)、T-MFC (L)そしてACRハイドロジェルベイト剤では、同等の動員効果が見られたが、C-MFCハイドロジェルベイト剤の動員効果はT-MFC (H)、T-MFC (L)ハイドロジェルベイト剤よりは低かった。つまり、MFCの物性によって動員効果が異なることがわかった。

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