「すごい森」も収録 元公務員が撮影した数々の巨樹 連載まとめて出版「宝物を大切に」
京都新聞 / 2024年4月10日 6時30分
滋賀県の元長浜市職員の西島進一さん(73)=同市朝日町、ペンネーム「西岳人」=が、地域情報紙に執筆している連載をまとめた「北近江の巨樹を見に行く」を出版した。滋賀県北部の寺社境内に生え、信仰の対象になってきたなどの巨樹を自身撮影のカラー写真とともに紹介している。
西島さんは20代の頃は北アルプスに赴くなどしてきたが、30代以降は県周辺で山登りを楽しむようになった。その中で、開発で伐採されずに残る巨樹に目を向けるようになった。
連載は、市役所を退職した2007年から月1回続けている。同書には、200回以上に及ぶ連載から選んだ湖西、湖北、湖東の50カ所を収録。歴史や伝承を含めて紹介している。
収録分で西島さんにとって印象深いのは、菅山寺(長浜市余呉町坂口)のケヤキだという。菅原道真の「お手植え」と伝わる樹齢1100年超の古木2本が山門の両脇に生えるが、うち1本は17年に倒れた。ケヤキの他にも大きなアカガシやトチノキもあり、「いろいろな木が見られるすごい森」と評する。
高島市今津町深清水と酒波にある桜、エドヒガンにも目を奪われた。「あれだけ大きな木は国内でも数少ないのでは」と驚嘆する。
連載で各地を訪れて気になっているのは、安全上の問題などから寺社境内の巨樹が伐採されるケースが目立つ点だ。「木は一度切ったら元には戻らない。安易に伐採されているのでは」と警鐘を鳴らす。
「身近なところに巨樹があることは県北部の誇りであり大きな財産。その宝物を改めて見直し、大切にしてほしい。本を見てぜひ現地に足を運んでもらえれば」と希望する。今後は「連載のうち花を扱った原稿を書籍化できれば」と期待する。
サンライズ出版刊。A5判128ページ、税別2千円。
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