琵琶湖で北米原産ナマズの捕獲数が急増 ウナギと競合恐れ、滋賀県が危機感
京都新聞 / 2024年3月22日 6時20分
北米原産の特定外来生物「チャネルキャットフィッシュ(通称・アメリカナマズ)」の捕獲が近年、琵琶湖で急増している。初確認から年間50匹以下で推移してきたものの、過去5年は200~300匹が見つかっている。在来の魚の成長に影響を及ぼす可能性があるといい、滋賀県や漁業者が駆除に力を入れている。
食用として日本に持ち込まれたとされるチャネルキャットフィッシュは、2001年に初めて琵琶湖で見つかった。13年から瀬田川洗堰(あらいぜき)下流部で増えはじめ、19年に急増して331匹を記録。その後も高止まりし、22年は過去最多の374匹、23年も256匹を捕獲した。生息域が広がり、洗堰上流部や南湖でも確認されている。
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近年、琵琶湖で捕獲数が増えている北米原産のチャネルキャットフィッシュ。生息域は瀬田川洗堰(あらいぜき)の下流部から上流部、さらに湖本体へと広がっており、滋賀県は危機感を募らせている。
県水産試験場によると、チャネルキャットフィッシュは深い場所を好む特徴がある。宇治川の天ケ瀬ダム(京都府宇治市)周辺で産卵を繰り返して繁殖し、瀬田川に遡上(そじょう)してきたとみられるという。
漁業関係者は琵琶湖で捕獲数が増加していることに伴う影響を心配している。チャネルキャットフィッシュは小魚や昆虫を食し、石積みの間の暗い場所にいるなどの特徴がウナギと似ているため、競合して成長を阻害する恐れがあるという。
同様に増えている霞ケ浦(茨城県)では、定置網で一緒に捕獲されたワカサギやシラウオなどの小魚を満腹になるまで食い荒らす被害が出ているという。食害だけだなく、ひれに鋭いとげがあるため、瀬田川では、はえ縄漁を営む漁師から刺さってけがをしたとの報告がある。
対策に力を入れる滋賀県は、2019年度から漁船による集中的な駆除にかかる経費を県漁連に補助している。併せて、効果的な駆除の方法も研究している。
チャネルキャットフィッシュは、オオクチバス(通称・ブラックバス)と同様に、無許可飼育や生きたままでの移動を禁じる特定外来生物に指定されているほか、生態系に及ぼす影響が強い外来種として県の「強影響外来種」に指定されている。特定外来生物は釣ったその場で放す「キャッチ・アンド・リリース」が認められているが、県は、再放流を禁止していくことも選択肢の一つとし「漁業者や生態系を守るためにさらなる対策を検討する」(琵琶湖保全再生課)としている。
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