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社説:IHI品質不正 はびこる病根断たねば

京都新聞 / 2024年4月26日 16時0分

 またも日本のものづくりへの信頼が大きく揺らぐ不祥事である。

 重工大手のIHIは、子会社が船舶用や陸上用のエンジンの燃費に関するデータを改ざんしていたことを明らかにした。

 40年近く不正が引き継がれていた可能性があり、確認できる2003年以降だけでも国内外に出荷された計4361台に上る。

 5年前にも大規模な検査不正の発覚で行政処分も受けながら、見過ごされてきた形だ。

 相次ぐトヨタ自動車グループの認証不正問題など、国内大手で性能試験などの不祥事が絶えない。顧客と品質を軽んじる体質の根深さを浮き彫りにしていよう。

 IHIによると、試験運転時の計測データについて、納入する際に数値を良く見せたり、ばらつきを整えたりしていた。

 改ざんの半数近い約2千台は、顧客と約束した仕様を満たしていなかった。海外向けの船舶エンジンでは、排ガスの窒素酸化物(NOx)規制基準を逸脱している恐れの例もあった。意図的で悪質と言わざるを得ない。

 こうした不正が新潟の工場で1980年代後半、群馬では2001年から続いてきたとみられるというから深刻だ。

 記者会見した盛田英夫副社長は、社内調査に検査係は全員認識し、口頭で引き継ぎがあったと認めているという。上層部の関与はなかったか、長期にわたる組織的な不正の解明が不可欠だ。

 納入先には、海上保安庁の巡視船やJR北海道の列車、各府県の漁業練習船なども含まれる。IHIは安全性の問題は見つかっていないとするが、交通・社会インフラに深く関わる企業だけに全分野の再点検が求められよう。

 同社は、19年にも看板事業の航空機エンジンで検査不正が発覚した。必要な資格を持たない検査員がエンジンの整備や製造部品の品質検査を担うなど計1万4千件を超える不正が判明し、国土交通省から業務改善命令を受けた。

 再発防止策として業務体制の見直しなどを掲げたが、社内全体に未徹底だったということだろう。改めて特別調査委員会を設け、原因究明などに当たるが、はびこる病根を断つ抜本的な改革が要る。

 国交省はきのう、不正のあった2工場に立ち入り検査し、IHI側に全容解明と対策の報告を求めている。会社任せではなく、社会の安全と製品への信頼を脅かす品質不正に、より厳しい対応が必要ではないか。

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