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『ドラえもん』の「公式」な最終回とは? 「切なすぎ」「都市伝説じゃなかった」

マグミクス / 2023年1月11日 6時10分

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■『ドラえもん』は誰もが知るマンガだけど?

『ドラえもん』は、『サザエさん』や『ちびまる子ちゃん』など、日本人なら誰でも知っている「基本教養」的なマンガであり、もはや日本文化の一部と言ってもいいくらいの超有名作品です。連載開始からすでに50年以上が経ち、作者の藤子・F・不二雄先生は四半世紀以上前に亡くなっていますが、TVアニメは声優の交代も経て今も継続中。コロナ禍で公開延期もありましたが、劇場版も毎年大ヒットしています。

 もはや終わらせる理由がなく、「不死身」と言ってもいいほどの人気を誇る『ドラえもん』ですが、その「最終回」については、長年さまざまな「都市伝説」じみた説が存在しています。「ドラえもんの存在そのものが、植物人間になったのび太が見た夢」「ドラえもんの開発者はおとなになったのび太」など、耳にしたことがある人もいるのではないでしょうか。

 藤子先生は「大長編ドラえもんシリーズ」第17作の『のび太のねじ巻き都市冒険記』執筆中に亡くなっているので、『ドラえもん』は本来「未完」の作品なのですが、実は「公式な」最終回は存在するのです。しかも複数あります。

 今回はあまり知られていない『ドラえもん』の最終回について、『ドラえもん』連載の歴史とともに振り返ります。

●そもそも「第1話」が「6種類」ある

『ドラえもん』の連載は小学館の雑誌「よいこ」「幼稚園」「小学一年生」「小学二年生」「小学三年生」「小学四年生」の1970年1月号で、同時にスタートしました。後に、「小学五年生」「小学六年生」「てれびくん」「コロコロコミック」にも掲載されています。

 6つの雑誌で同時に連載が始まったため、「ドラえもん」には6種類の第1話が存在します。一般的に『ドラえもん』の第1話として知られているのは「小学四年生」に掲載された「未来の国からはるばると」ですが、その理由は最初の単行本となった「てんとう虫コミックス」収録の第1話が「未来のくにからはるばると」だったためです。

 種類別の第1話は、2019年に発売された『ドラえもん 0巻』でも確認できます。読者の対象が幼稚園児から小学校高学年まで広がっているため、それぞれの第1話を読むと言葉遣いが対象年齢が低いほど平易になっており、のび太の学年も掲載誌によって変わっていました。このように掲載誌が複数という特殊な事情があるため、2009年から発売された『藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん』(小学館)では、学年繰り上がり順の掲載(リアルタイム読者が最年長の1970年「小学四年生」から順に掲載)という特殊な掲載順になっています。

 なお、最初期連載の特徴として、今やおなじみのドラえもんの妹・ドラミが全く出てきません。ドラミは「読者投稿」をきっかけに誕生したキャラクターで、1973年の「小学五年生」4月号掲載の「ハイキングに出かけよう」で初登場となりました。

 また、原作のドラえもんは「きみはじつにばかだな」「脳みその進化がおくれているらしい」と、ストレートにのび太をディスるなど、かなりの毒舌家で、近年は毒舌コマがネットの大喜利のお題画像などにも使われています。

■気になる『ドラえもん』の最終回は?

「公式な」最終回を原作にした映画『帰ってきたドラえもん』は、短編ながらも感動的な人気作品。(ポニーキャニオン)

●最終回は3種類ある

 学年が上がるごとに読者の対象が変わっていく「小学〇年生」で連載されていたため、『ドラえもん』の連載は基本、特に何ごともなく「次話に続く」ことが多かったのですが、実は藤子先生によって「ドラえもんとのび太の別れ」が描かれた、「最終回らしい最終回」も「3種類」存在します。

 まずひとつめの最終回が、1971年の「小学四年生」3月号に掲載された「ドラえもん未来へ帰る」です。当時、『ドラえもん』が「小学五年生」「小学六年生」では連載されていなかったため、「小学四年生」を卒業する読者のために用意された便宜的な最終回ですが、今となっては「これがいちばん最終回らしい」という意見もあります。

 このエピソードでは、未来人たちが野比家で好き勝手をした挙句、とうとう「時間旅行そのものが禁止」となり、ドラえもんが未来に帰る(というよりは強制送還)ことになりました。最後にドラえもんがのび太との別れを惜しんで泣き、のび太はもともとタイムマシンの入り口だった机の引き出しに関して、「ぼくは開けるたびにドラえもんを思い出すのです。」と語り、物語は終わります。後日譚もなく、切なすぎるこの「最終回」は、現在までアニメ化はされていません。

 続いて、第2の最終回が1972年の「小学四年生」3月号に掲載された「ドラえもんがいなくなっちゃう?」です。このエピソードでドラえもんは、「このままだと、自分に頼ってのび太が駄目になってしまう」と泣く泣く未来に帰ります。ただし、翌1973年から『ドラえもん』が「小学五年生」「小学六年生」でも連載され、ドラえもんは予告マンガで、のび太を心配して未来から帰還しました。

 そして第3の最終回が、1974年の「小学三年生」3月号に掲載された「さようなら、ドラえもん」です。ドラえもんが未来に帰ってしまうのは前述のふたつと同じですが、このエピソードはドラえもんを心配させまいと、のび太がボロボロになりながらジャイアンに立ち向かう、感動的展開も描かれています。

 結局「小学四年生」1974年4月号に掲載された「帰ってきたドラえもん」で、ドラえもんは戻ってきました。ここでは、話した内容と反対のことが実現するひみつ道具のドリンク「ウソ800」を飲んだのび太が、「ドラえもんは帰ってこない」と言ったため、ドラえもんが帰ってくるという、はっきりした「理由付け」がされています。

 実は、藤子先生は「さようなら、ドラえもん」を本当の最終回にするつもりだったそうです。その後、藤子先生が思い直して帰還エピソードを描いたため、『ドラえもん』は先生が亡くなるまで続きましたが、「本当の」最終回に相応しい感動的な物語になっています。この「さようなら、ドラえもん」と「帰ってきたドラえもん」は1998年の『のび太の南海大冒険』とセットで公開された映画『帰ってきたドラえもん』の原作になっており、多くの人びとの涙を誘いました。

「人に歴史あり」と言いますが、これだけ長く続いた作品にも当然、相応の歴史があります。さまざまなバージョンがあり、掲載誌も違ったため、世代によって、思い描く「最終回」もさまざまなようです。都市伝説的な話が出回るのもしかたないくらいの人気作『ドラえもん』ですが、これからも国民的コンテンツとして笑いと感動を届けてほしいものです。

(ニコ・トスカーニ)

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