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昭和ライダー世代愕然…前代未聞のラスト迎えた『仮面ライダー龍騎』最終回から20年

マグミクス / 2023年1月19日 6時10分

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■平成ライダーの新しい常識を生み出した『龍騎』

 本日1月19日は2003年にTV特撮作品『仮面ライダー龍騎』最終回が放送された日。今年で20年になります。仮面ライダー史上なかった前代未聞の展開に、誰もがおどろいた最終回でした。そのエピソードについて振り返ってみましょう。

『龍騎』はそれまでの仮面ライダーシリーズの常識をことごとく塗り替えた作品でした。まず、そのデザイン。仮面ライダーはほとんどが昆虫モチーフの大きな目が特徴的でしたが、『龍騎』では西洋の甲冑をベースに昆虫以外の動物や幻獣をモチーフに加えています。このデザインの革命により、後の仮面ライダーがより自由な発想で生まれる余地を与えました。

 前作『仮面ライダーアギト』は、当初から3人の仮面ライダーを登場させるという多人数ライダーでしたが、『龍騎』ではそれをはるかに上回る13人の仮面ライダーが登場します。

 さらに13人全員がカードデッキとベルトで変身するという共通項を持つ点も、後のシリーズに先駆けていました。誰もが仮面ライダーになることができる世界。その最初の作品となりました。

 この誰もが仮面ライダーになれるというのも大きなポイントです。なぜならこれまで仮面ライダーになれたのは基本的に正しい心を持つ者でした。ところが『龍騎』では、自らの欲望に従って戦う悪人も仮面ライダーになれます。

 これによって悪の仮面ライダーという存在が生まれ、主人公の仮面ライダーと戦うことになりました。その結果、ライダーバトルという仮面ライダー同士の戦いが、以降のシリーズでは当たり前となります。

 こういった昭和の頃にはあり得なかった展開が、平成のスタンダードになったのは『龍騎』以降でしょう。それほど『龍騎』の果たした役割は大きく、20年経過した現在でも衰えぬ人気から後発作品にゲスト出演するほどです。

 特に複数の仮面ライダーが戦うという点は大きな見どころで、最終回に至るまで多くの仮面ライダーが脱落していきました。そして、生き残った仮面ライダーが決着をつけるというクライマックスに向けて、ラストエピソードへカウントダウンが始まります。

 ここでようやくいくつかの謎と思われる部分が明かされるのですが、実は放映中はそこで盛り上がる人はあまりいませんでした。それはTVに先駆けて公開された夏の劇場版『劇場版 仮面ライダー龍騎 EPISODE FINAL』で明かされていたからです。

 この劇場版で『龍騎』の世界は何度も繰り返されたことが示唆されており、同様の展開でTVスペシャル『仮面ライダー龍騎スペシャル 13RIDERS』も放送されていました。つまりTVシリーズの『龍騎』最終回も辿(たど)る過程は違っていても、結果はほぼ同じだろうと想像できたわけです。

 そのうえで、どういった結末でTVシリーズを締めくくるのかが注目でした。ところが、『龍騎』はそう簡単に一筋縄で終わる作品ではなかったのです。前代未聞の出来事が最終回一本前の第49話で起こりました。

※これ以降は『仮面ライダー龍騎』最終回近辺についてのネタバレ記述があります。閲覧にはご注意ください。

■TVシリーズ最終回が真のエンディングとなった理由

TVシリーズとは違う結末が描かれた『劇場版 仮面ライダー龍騎 EPISODE FINAL』Blu-ray(東映ビデオ)

 前代未聞の出来事。それは主人公である城戸真司、仮面ライダー龍騎が最終回を前にして死んだことです。過去にも最後に死ぬことで世界を救ったヒーローは何人かいましたが、最終回を迎える前に倒れたのは、あまり例のないことでした。

 幼い子供を助けるため、怪人の攻撃をその身に受ける真司。戦いが終わった後、背後の白い車に多くの血痕を残して息を引き取ります。この血を流して最期を迎えるという姿は子供番組ではあまり例がなく、意図的にむごたらしい死にざまを見せるという演出でした。

 これにより最終回まで残ったのは秋山蓮/仮面ライダーナイト、北岡秀一/仮面ライダーゾルダ、浅倉威/仮面ライダー王蛇、そしてライダーバトルの首謀者である神崎士郎のエージェント・仮面ライダーオーディンだけとなります。

 しかし北岡は病気により命を落とし、そのため決着をつけることができなかった朝倉は自暴自棄になって警官隊と衝突して射殺されました。こうして最後のひとりを決めるべく、ナイトとオーディンとのラストバトルが始まります。そして、この戦いを制した蓮は望みである新しい命を手にしました。

 ここで注目したいのは、TVシリーズ最終回で勝ち残った蓮と、TVスペシャルで蓮のカードを受け継いでナイトサバイブに変身し勝ち残った真司のふたり。両方とも主役ライダーである龍騎でなく、2号ライダーのポジションであるナイトがライダーバトルを制したというのは、本作らしい意外性のある結末と言えるかもしれません。

 逆を言えば、『龍騎』という物語は真司と蓮のバディものだったとも考えられます。その点では『仮面ライダー』の掟破りを連発した作品でしたが、1号ライダーと2号ライダーが同格という点は原典である『仮面ライダー』と同じだったということになるでしょう。

 こうしてひとつの戦いが終わります。実はこのライダーバトルは、死んでしまった神崎の妹である優衣に新しい命を与えるために行われていたものでした。ところが、それを優衣がかたくなに拒否したため、神崎は時間を巻き戻すことで何度もライダーバトルを行っていたのです。

 しかし、優衣の説得をついに受け入れた神崎はライダーバトルを繰り返すことをあきらめ、現実世界から姿を消しました。この時、歴史が修正されたのか、すべての記憶を失うことによりライダーバトルで死んでいった者たちは復活を遂げます。

 こうしてエンドレスループだった世界は動き始め、その世界で真司は死んでいったはずの仮面ライダーたちと出会い、最後に蓮と再会するところで物語は終わりました。

 何度も同じことを繰り返した『龍騎』の物語は、もう二度と時間は繰り返さないという形で真の終結を迎えます。このことから劇場版やTVスペシャルで迎えた最後とは別で、本当の最終回はTVシリーズということになりました。『龍騎』はさまざまな仕掛けで視聴者たちをにぎわせた作品でしたが、そのラストは余韻のあるハッピーエンドだったと思います。

(加々美利治)

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