『ガンダム』古参ファンが数十年ぶりにガンプラを触ったら… 衝撃的な進化に驚いた!
マグミクス / 2023年1月19日 19時40分
■接着剤を塗りすぎて「表面がガビガビ」は過去の話?
1980年代のガンプラブーム当時、接着剤でパーツをくっつけて組み立てていくのがプラモデルの基本でした。その時期にプラモデルを楽しんだ世代が久しぶりに現在のガンプラに手を出してみると、どうやら「衝撃を受けるほどの変化」に圧倒されるようです。
筆者の思い出のプラモデルは、1980年にバンダイがリリースした1/100スケール「鉄人28号」です。同年に放送されたテレビアニメ『太陽の使者 鉄人28号』の立体化で、アニメは横山光輝先生が描いた原作コミックを大胆にアレンジした「現代版の鉄人28号」(当時)でした。
ずんぐりとした原作コミック版と異なり、「太陽の使者」版は全体的にスラリとしたプロポーション。プラモデルは胸と両足の装甲が取り外し可能となっており、内部のメカ構造が見られる仕様となっています。ただ当時のプラモデルらしく可動箇所は制限されており、かっこいいポーズを取らせるのはほぼ不可能でした。
当時は接着剤が必要な時代でしたから、キットの中にちょっとした接着剤が同梱されている商品もありましたね。
成型色は濃紺とシルバーの2パターン。自分で塗装しないといけません。筆者は当時、父に作ってもらっていたくらいなので、自力で作る初のプラモデルではあっても塗装まではできませんでした。
初めて使った接着剤は塗りすぎたばかりか、その部分をベタベタと触ってしまったため、ボディ表面まで溶かしてザラザラになってしまいました。それでも完成した時は心が満たされ、見た目がどんなに無惨でもかっこよく思えたものでした。
皆さんが初めて作ったプラモデルの完成度はいかがでしたか?
■現在のガンプラは「自分で作るアクションフィギュア」?
「HG 1/144 ガンダムエアリアル」のランナーの1枚。クリアパーツまで一緒に成形されている
1980年といえば、ちょうどガンプラブームが起こった頃。改めて振り返ってみるとガンプラはさまざまに進化してきました。
『機動戦士ガンダムZZ』で合体変形型のガンダムが登場した際にはテンションがかかるパーツが金属製になっていましたし、1980年代は「イロプラ」と呼ばれる多色成型の塗装不要モデルが登場したり、接着剤不要の「スナップフィットモデル」も定番化したりして、「初心者でも作りやすいプラモデル」が実現していきました。結果、手軽に組めて、しかも可動機構やプロポーションが洗練された「自分で作るアクションフィギュア」と呼べる高いクオリティに達したのです。
それでは、現在のガンプラは具体的にどのような仕様となっているのでしょうか? 最新アニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』に登場する主役機「ガンダムエアリアル」を例に紹介しましょう。
まずパッケージを開けると目に飛び込んでくるのは、色とりどりのランナー(パーツを切り離す前の状態)です。プラモデルのランナーといえば、だいたい1枚ずつ単色で成型されるものです。しかしバンダイのプラモデルは1枚のランナーの「この部分は青」「この部分はクリア素材」といったように多色成型されます。まさにガンプラ40年の歴史を象徴するかのような高い技術力です。
ちなみに接着剤を使わないプラモデルを開発するには、コンマミリ単位のズレも許さない高い精度が必要です。その精度も進化を続けており、例えば「フィギュアライズスタンダード」ブランドの「人造人間18号(『ドラゴンボールZ』)」は、瞳の部分がパーツ分けされており、組み立てるだけで瞳が色分けされるという、まさに異次元のレベルに達していました。
また「フィギュアライズバスト」でリリースしたホシノ・フミナ(『ガンダムビルドファイターズトライ』)に至っては、「レイヤードインジェクション」と呼ばれる、4つの成型色で構成された瞳のパーツを使用していました。つまり成型の段階で細かく色分けされていたのです。現在はタンポ印刷というプリント技術が主流になっており、デカールとの併用が多い美少女プラモデルの分野ですが、いかにバンダイが異次元の技術力を持っていたか分かる商品でした。
さらにバンダイのプラモデルと言えばゲート(ランナーと繋がっている部分)の構造も独特です。ゲートは金型に素材を流し込む際のまさにゲート(門)なので通常はそれなりの太さです。しかしガンプラではその部分が驚くほど細くなっており、部分によってはちょっと押さえたくらいでプツリと切れてしまうほどです。つまり切り離した後のゲート跡も最小で済むわけです。
ランナー部分のアップ。ゲート部分がキュッと絞られたように細くなっている
また接着剤が必要だった頃はパーツの合わせ目が目立っており、パテとヤスリで合わせ目を消す作業をするのが当たり前でした(筆者は面倒くさがり屋なのでやりませんでしたが……)。
しかし現在は合わせ目が目立たないようなパーツ構成になっていたり、ゲート跡が目立たないような組み方をしたりする商品ばかりなので、塗装もヤスリがけもなく、ただ組むだけで完成品のアクションフィギュアさながらの仕上がりになるわけです。
そのほか『機動戦士ガンダム 水星の魔女』のプラモデルでは関節部分の構造がより複雑になって柔軟なポージングが可能になっていますし、アニメ劇中の発光ギミックを再現する特殊パーツも付属しています。
筆者の周囲で数年ぶり・数十年ぶりにガンプラを触ったという人が口をそろえて「想像以上に進化していてびっくりした!」と目を丸くしていましたが、まさに浦島太郎のような感覚だったに違いありません。
まだまだ最新の商品は品薄になることが多く、店頭に並んでも1日あれば完売になるくらい人気のガンプラ。しかし1980年代の商品も含めて頻繁に再販されており、そちらは比較的入手しやすいので、まずはそちらで「プラモデルデビュー」もしくは「現場復帰」をしてみてはいかがでしょうか?
またガンプラに限らず、バンダイからは『仮面ライダー』シリーズ、『ウルトラマン』シリーズ、『ドラゴンボール』シリーズ、各種ロボットアニメのプラモデルをリリースしています。そちらも同様の高いクオリティで設計されているので、そこから入るのもいいですね。
初心者には、入門編としてリリースされている「EG(エントリーグレード)」のガンプラ、もしくは作り方の解説書も入った「スターターセット」がオススメです。
(気賀沢昌志)
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