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10年前「消える」と言われた「重厚長大ゲーム」 結局生き残った理由とは?

マグミクス / 2024年2月19日 18時10分

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■『パズドラ』が大人気だった頃、大作は消えるといわれていた

 2023年にリリースされた、みなさんの記憶に残っているゲームはなんでしょうか。筆者は『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』に始まり、『FINAL FANTASY XVI』『ストリートファイター6』『アーマード・コア6』ときて、最後の最後は海外のRPG『バルダーズ・ゲート3』と、ゲームに明け暮れた1年でした。

 2023年は大作や、やりごたえのあるタイトルがたくさんあって、じっくりゲームを遊んだ年だったと感じています。そしてそれは、少し感慨深くもあります。というのも、10年ほど前には、重厚長大な、いわゆる大作ゲームは必要とされなくなり、これからは手軽でカジュアルなゲームの時代が来るという声が少なからずあったからです。

 大きな流れはふたつあり、そのうちひとつは携帯電話のSNS型ゲームプラットフォーム、いわゆるソーシャルゲームの流行です。GREE(グリー)やMobage(モバゲー)が人気を博しました。ちなみにMobageのサービス開始は2006年。当時の端末はスマートフォンではなくガラケーでしたから、本当にシンプルな操作しかできませんでしたが、それでも多くのユーザーが夢中になりました。

 そしてふたつ目の流れは、スマートフォン向けゲームです。転換点は『パズル&ドラゴンズ』(以下、パズドラ)の登場でしょう。『パズドラ』はいま思えば、ゲームとしてはそれほど目新しいわけではありません。3つ以上の色をそろえる、いわゆる3マッチパズルです。しかし、タッチパネルを搭載したスマートフォンとの相性は非常に良く、大人気となりました。また、モバイル端末向けゲームの課金設定や、運営のお手本として研究される作品でもありました。

 この頃、もはや重厚長大なゲームは滅びるのではないか、という声がありました。隙間時間にさっと遊べてストレスのないゲームが現代にふさわしく、「何十時間もTVの前に座り続けるゲームに未来はないかもしれない」といわれたのです。実際、『パズドラ』の後にはモバイル端末向けのアクションパズルは非常にたくさん発売されました。

■「何十時間もTVの前に座り続けるゲーム」の未来はどうなった?

同じ果物をくっつけるとだんだん大きな果物になっていく『スイカゲーム』 (C)2021 Aladdin X Inc.

 さて、そこで冒頭の話に戻ります。2023年を振り返ってみると、大作や、やりごたえのあるゲームが数多く登場し、そして話題になりました。特に『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』や『バルダーズ・ゲート3』などは、本当にじっくりと腰を据えて長く遊ぶゲームです。

『パズドラ』の配信が2012年からで、実は同じ年に「Wii U」、そして翌年に「PlayStation 4」が発売されています。しかし、この頃の国内ゲーム業界では据え置きゲーム機のシェアが落ちていくという傾向もあり、じっくりと遊ぶゲームが求められていない、というように考えられたのでした。

 その後、「Ninetendo Switch」が発売されることによって、携帯ゲーム機と据え置きゲーム機の境界はあいまいになりつつ、大作ゲームがいらなくなる、遊ぶ人がいなくなる、という事態は起きていません。生き残った、といって差し支えないでしょう。

 もっともこれは、カジュアルゲームの衰退を意味していません。ご紹介した『パズドラ』だって、いまなお現役です。また特に面白い傾向としては、独立系、小規模開発系、いわゆるインディゲームの隆盛が挙げられます。果物を落として合体させる『スイカゲーム』や、無限に続く地下通路を異変に気を付けながら抜けていく『8番出口』が大変な話題になりました。新しいアイデアや、驚きのあるカジュアルなゲームが、インディから発売され、そしてそれが注目を集めるようになっています。

 結局、ゲームはどのようになったのかといえば、おそらく多様化したのだと思われます。重厚長大なゲームがいらなくなることもなく、カジュアルなゲームが廃れることもなく、さまざまなニーズにあわせたゲームが発売されるようになりました。

 スマートフォンが誰でも持っているゲームプラットフォームとして機能するようになったり、オンライン配信が一般的になって小規模開発のゲームが発売されやすくなったりと、基本的にはカジュアルなゲームが発売されやすい環境が整っていきました。それでも、ゲームメーカー渾身の1作が色褪せぬ輝きを放ち、廃れず生き残った結果、実にさまざまなゲームを自分に合わせて選べる良い時代が来ているように思います。

 しいていえば、やりたいゲームが多すぎて時間が足りないのが、唯一の悩みかもしれません。

(田下広夢)

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