【漫画】いじめられていた中学の同級生とファミレスで再会 彼の意外なひと言に「泣ける」「前向きになれる」【作者インタビュー】

■ファミレスでの意外な再会

　主人公の平田フミカは、友人のミキにミキの高校の先輩・松下を紹介されます。ファミレスに入り3人で話していると、近くの席に中学の同級生・鹿野が座っていることに気が付きます。同時に、中学生の頃の記憶がよみがえってきます。給食の時間、クラスメイトによくいじめを受けていた鹿野は、ある日制服のズボンを牛乳でびしょびしょに濡らされてしまいます。

　放課後、教室でズボンを拭く鹿野にフミカは声をかけ、お腹が空いていると思い、親切心でコッペパンを差し出します。しかし、「いらない」とキッパリ断られてしまいました。フミカは当時のことを思い出し、いたたまれなくなり席を立ちます。ドリンクバーコーナーの前で気持ちを落ち着かせていると、「平田さん」と名前を呼ぶ声が聞こえてきて……？

　草原うみさん（@umikusahara）による創作マンガ『ティラミスのパフェ』がX（旧：Twitter）上で公開されました。今作は、Webコミックメディア「路草」に掲載された読み切りマンガです。いいね数は6000を超えており、読者からは「この恋とは関係ない男女間の一瞬のきらめきみたいなのがいい」「とてもいい話で、鹿くんの『ありがとう』で涙ぐみました」「前向きになれる作品」などの声があがっています。

　作者の草原うみさんにお話を聞きました。

ーー今作『ティラミスのパフェ』が生まれたきっかけや、理由を教えて下さい。

　ずいぶん前に「昔の知り合いをファミレスで見かける」というシーンだけを考えていたのですが、2020年に友人たちと「ファミリーレストラン」をテーマにした合同誌を作ることになり、そのシーンを展開してマンガにしました。

ーー今作を描くうえでこだわったことや、お気に入りのシーンなどはありますか？

　実際に空気感を味わってイメージをふくらませようと思い、都内のファミレスに行って小一時間過ごして帰ってきてから描きました。お気に入りのシーンなどは……私は女友達という存在が好きなので、このマンガでも女友達が出てくるシーンは好きです。

脳裏によぎる中学時代の青年の姿…（草原うみさん提供）

ーーフミカと鹿野くんが、ほろ苦い経験から前を向くストーリーに対して読者の方から多くの反響がありました。今作に込めた思いなどを教えて下さい。

　描いたのが少し前なので詳しいことは忘れてしまったのですが、今考えると、人生には、後々まで苦い・つらい記憶になってしまう出来事も起こりますが、それでも自分なりに善くあろうとする行動や気持ちは何かのタイミングで魔法のように人の心を救えることがあるということ。

　また、表面的な要素だけで分類されたり、否定されたりすることってよくあると思います。ですが、そういうことに傷付られて、自分の価値観や良いところを見失わないでほしい、という気持ちがあった気がします。

ーーそのほかにも、たくさんの感想が寄せられています。特にうれしかった感想の声、印象に残った読者のコメントはありましたか？

　マンガに対するコメントをこんなにたくさん、目に見える形でいただいたのは初めてだったので、どのご感想・コメントもとてもうれしかったです。キャラクターの行動の背景などをスッとくみ取ってくださる方が多くて、洞察力・共感力に驚き感動しました。

ーー草原うみさんがマンガを描き始めたきっかけを教えて下さい。

　小さい頃からいわゆるマンガタッチの絵を描いてはいたのですが、大学でマンガに関する講義を受講し、提出するために原稿用紙を買ってコマ割りをして、初めて「マンガ」と呼べそうなものを描きました。

ーー今後、X（旧：Twitter）で発表される作品については、どのように活動していきたいとお考えでしょうか？

　現在、小学館の「月刊スピリッツ」にて『やがて、ひとつの音になれ』という連載をしています。また、2024年6月には、この『ティラミスのパフェ』を含む個人制作のマンガを集めた短編集が「トゥーヴァージンズ」より出版される予定です。

　X（旧：Twitter）は、それらのマンガに関して知っていただくきっかけになってくれたと思っているので、今後も興味を持ってくださる方に楽しんでいただけるよう、投稿していけたらと思っています。

（マグミクス編集部）