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『電人ザボーガー』放送から半世紀 突然の「放送終了」に唖然とした子供たちも?

マグミクス / 2024年4月6日 6時10分

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■生身で特撮ヒーローとなった主人公

 本日4月6日は、1974年に特撮ヒーロー番組『電人ザボーガー』が放映開始した日です。今年(2024年)で50周年となりました。後にリメイク劇場版が製作されたほど、熱狂的なファンが多かった作品です。

 本作はこの時間枠を『スペクトルマン』(当初のタイトルは『宇宙猿人ゴリ』)以降、継続していた株式会社ピー・プロダクションこと「ピープロ」が製作しました。この土曜日19時という時間枠では『快傑ライオン丸』というヒット作も続けて誕生しています。

 しかし、それ以降は『風雲ライオン丸』、『鉄人タイガーセブン』と、半年程度で終わる作品が続きました。これは両作品ともハードで陰惨な展開が多く、それが原因で視聴率が伸び悩んでしまったと、スタッフも反省したそうです。

 そこで今作『電人ザボーガー』では、逆に明快なヒーローアクションを取り入れることになりました。おりしも時代はブルース・リーによるカンフー空手ブームで、それを物語に取り入れる傾向が他作品にも多く見られています。

 こうして誕生したのが本作の主人公である「大門豊」でした。敵を徒手空拳で次々と撃破する殺陣は本作最大の見どころでしょうか。そのブルース・リーを思わせる怪鳥音や表情といった演技はすぐに子供たちのゴッコ遊びに取り入れられ、子供時代の筆者の周りでは「誰が大門のマネが一番上手いか」と競い合いあったほどです。

 大門のヒーロー性が受け入れられた理由がまさにコレでしょうか。これまでの変身ヒーローではあまり見られなかった生身の役者が造形物のロボットなどと戦う姿は新鮮でした。なぜなら、変身ヒーローなら変身してから敵を倒すのが普通だからです。ところが大門は敵の幹部や殺し屋たちを容赦なく生身で倒していきました。

 このため、大門には「飛竜三段蹴り」という必殺技が用意されています。その体内には子供の頃の事故で一命をとりとめるために電極回路が埋め込まれ、それが発する「怒りの電流」が主役ロボ「ザボーガー」起動の鍵でした。

 作品タイトルでもあるザボーガーは、普段はバイク形態「マシーン・ザボーガー」として大門の愛車として活躍します。そして大門の指令でロボット形態となって敵と戦いました。大門の活躍を先に紹介しましたが、ザボーガーもけっして弱いわけではなく、作品序盤での戦いでは圧倒的な強さを誇っています。

 この大門とザボーガーが本作の敵組織「Σ団」と戦いました。エンディングの歌詞でもあるように大門とザボーガーは兄弟のような絆を持っています。このふたりの活躍が本作の中心と考えると、現代風的な解釈で本作は「バディもの」と言えるかもしれません。

 こう書くと味方サイドが圧倒的な強さのように思えますが、敵であるΣ団はそれ以上の強敵でした。そして強敵はそれだけにとどまらず、予想外の敵、予想外の展開が大門とザボーガーに襲い掛かります。

■新たなる強敵が出現! と思いきや、衝撃の出来事が

 Σ団は「悪之宮博士」が組織した秘密殺人強盗機関です。この悪之宮が大門の父親を殺した仇とも言える存在でした。部分的に機械化された身体に車椅子という異様な風体で、失敗した者や裏切者を許さない冷酷な男です。

 この悪之宮の車椅子を押している秘書的な役目を持つレギュラーの幹部がミスボーグでした。ロボットのようなサイボーグ体という姿にも変身可能。しかし、最終的に失敗を重ねたために爆弾を飲まされて爆死しました。

 そしてΣ団の主力となる存在はいくつか登場しています。初期に登場したのが動物型のロボットである「メカアニマル」。人間を改造したと言われている「殺人サイボーグ」。「オメガ計画」実行のために作られた「Ωサイボーグ」。人間体にも変身できるようになった「メカボーグ」。終盤に登場した車大の大きさのロボットもいた「Σメカ」などです。単純に種類だけで言えば、特撮番組でもっとも数が多いかもしれません。

 この他に、物語途中から登場した大門のライバルとなる「秋月玄」がいます。幹部が軒並みサイボーグ手術を受けているΣ団において、唯一の生身の幹部でした。正々堂々、正面からの戦いを好み、時には悪之宮に逆らうこともあります。マシーン・ホークという高性能バイクを持っていました。

 大門とΣ団との戦いは熾烈を極めます。大門もザボーガーも時には窮地に陥ることもありました。しかし悪之宮の殺すよりも苦しむ姿を見たいというサディスティックな面によりトドメを刺さず、それが逆転の機会につながることもあります。こうした逆転劇が本作の魅力のひとつでした。危機から立ち上がったヒーローの活躍が作品を盛り上げます。

 ところが、Σ団との戦いは39話で幕を閉じました。それは大門とザボーガーの活躍だけでなく、第三勢力となる「恐竜軍団」がΣ団を壊滅状態に追い込んだからです。つまり物語は完結したわけではありません。新たな敵との戦いへとシフトすることになったのです。

 しかし当時、ここで大門にとっても視聴者にとっても予想外の展開が起きました。それは物語がここで放送終了となった地域があったことです。地方ではよくあることらしいのですが、関東圏では異例の事態でした。なぜなら一部の地域では翌週から「電人ザボーガー対恐竜軍団シリーズ」と副題がついて放送したからです。

 当時の掲載誌「テレビマガジン」では引き続き連載が続き、強化形態である「ストロングザボーガー」の姿も公開されていただけに、この事態は放送されなかった地域の子供にとって寝耳に水、初めての経験でした。

 後に3か月遅れで「恐竜軍団シリーズ」は放送されて安堵しましたが、あの時のくやしさは同じ時代を経験した人にしかわからないかもしれません。今では39話の後にすぐ40話を見られた人の方が多いと思いますが、あの時の筆者たち一部の地域の子供たちはストロングザボーガーの活躍を3か月待たされたのでした。

(加々美利治)

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