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「脳だけ生き残る」「仲間を皆殺し」 TVと異なる衝撃展開の「昭和ヒーロー」マンガ

マグミクス / 2024年4月11日 7時10分

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■本郷猛が銃撃で死亡?

 昭和の時代には、さまざまな特撮ヒーローがTVで放送され、多くの子供たちを魅了しました。なかには原作がマンガ誌に連載されていた作品もありますが、その内容はTV版と大きく異なる展開が繰り広げられたことも少なくありません。今回は、昭和ヒーローマンガの衝撃展開を振り返りましょう。

●『仮面ライダー』

 石ノ森章太郎さんの代表作のひとつである『仮面ライダー』(1971年~1973年)の原作は、TV版と同じく1971年から「ぼくらマガジン」「週刊少年マガジン」で連載が始まりました。

 仮面ライダー1号、2号でお馴染みの本郷猛や一文字隼人が登場し、世界征服を企む悪の秘密結社「ショッカー」と戦うという大筋のストーリーはTV版と同様ですが、全6パート中の4パート目で、主人公の本郷が殺されるという衝撃展開が描かれていました。

 生身の姿だった本郷は、12人のショッカーライダーに囲まれ、一気に銃撃を受けてしまいます。駆けつけた一文字によって救い出されるも、一文字は「完全に死んでいる」と諦めるほど手遅れの状態でした。

 しかし、懸命な蘇生措置を施したところ、本郷の脳だけが正常に機能する状態まで回復し、最終的にガラスの器のなかに保管されることになります。さらに本郷の脳は一文字とリンクされ、一文字は作中で「これからおれが本郷猛になる」「かれの遺志をついで」と決意を表明するのでした。

 ちなみに脳だけの状態になった本郷と一文字は心のなかで会話できるようで、「もっとスピードをあげるんだ…隼人!」「いくぞ猛 これからは おれたちは もう ひとりぼっちじゃない!」とやり取りをしています。

 TV版からは想像できないほどの衝撃展開で、読者からは「TVの印象が強いせいか、一文字隼人に切り替わるのは複雑な思いになった」「『シン・仮面ライダー』も原作をもとにしているのが良く分かる」といった声があがっていました。

■仲間たちを皆殺しにした、TV版と大きく違うロボットヒーロー

●『人造人間キカイダー』

『人造人間キカイダー』1巻(秋田書店)

 1972年から1973年まで放送された『人造人間キカイダー(以下、キカイダー)』は、『仮面ライダー』に続く「石ノ森ヒーロー」として人気を博しました。『キカイダー』にも原作となるマンガ作品があり、1972年から「週刊少年サンデー」で連載されています。

 原作のあらすじはTV版とほぼ変わらず、ロボット工学の権威である光明寺博士によって開発された人造人間「ジロー」が、悪の組織「ダーク」にさらわれた博士を救うために旅に出るというものです。しかし、原作が迎えた最終話はヒーロー作品のなかでも、かなり悲哀に満ちた内容でした。

 最終回ではキカイダーをはじめ、キカイダーの兄弟である「00(レイ)」「01(イチロー)」や、女性型のロボット「ビジンダー(ミエ子)」が、敵対する「ハカイダー」によって悪の心を植えつけられます。そうすることで、キカイダーたちを服従させようとしたのです。

 キカイダー以外はハカイダーの言いなりになってしまったなか、キカイダーは「良心回路(ジェミニィ)」が取り外されなかったために、洗脳されずにすみました。そのまま仲間たちを救出するのかと思いきや、キカイダーは「今のぼくは友だちをだますことも それから…兄弟をころすこともできる」と言って、00、01、ビジンダーを光線で破壊します。

 彼は悪の心を植えつけられたことによって、善と悪の両方の心が備わり、人間と同じような感情を抱くようになったのです。人間は相手を騙すために嘘をついたり、殺し合いもしてしまったりする生き物のため、この場面では「人間の残酷さ」を描いたのだと考えられます。

 そして人間の心を手に入れたキカイダーによって宿敵のハカイダーも倒されたものの、彼は仲間をすべて失い、最後には複雑の気持ちを抱えたまま旅に出るのでした。善と悪の間でもがき苦しんできたキカイダーが、ラストで仲間を皆殺しするという展開は、あまりにも衝撃的で悲惨な結末です。

●『8マン』

『キカイダー』のようなロボットマンガといえば、TVアニメ草創期の1963年にTBS系で放送されていた『8マン』があります。放送の半年前から「週刊少年マガジン」で同名タイトル(作画:桑田次郎、原作:平井和正)のマンガ作品が連載されており、アニメ版の大ヒットもあってマガジンの代表的な作品になりました。

 同作は、殉職した刑事の東八郎の人格と記憶を電子頭脳に移植して生まれたスーパーロボット「8マン」が、警視庁捜査一課8番目の刑事として数々の難事件に立ち向かうという物語です。マンガ人気はもちろん、アニメは最高視聴率35.3%を記録する空前の大ブームを迎えましたが、原作の最終話は「秘書のさち子に8マンであることがバレてしまったことで、東は行方をくらます」という味気のないものでした。

 実は作画を担当していた桑田さんが拳銃を不法所持していたために逮捕されてしまい、同作は急遽打ち切られることになっていました。そこで当時のアシスタントである楠たかはるさんが、桑田さんの代わりに最終話を描くことになったのです。

 そして、時が経ち、リム出版から『8マン 完全復刻版』全7巻が出版され、そこで桑田さんによる最終話が描かれています。

(LUIS FIELD)

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