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ゲームボーイ、1991年勃発の湾岸戦争で兵士に支給 爆撃でも壊れなかった!

マグミクス / 2020年4月21日 8時50分

ゲームボーイ、1991年勃発の湾岸戦争で兵士に支給 爆撃でも壊れなかった!

■爆撃で吹っ飛ばされても動く頑丈さ

 1989年に任天堂から発売された携帯型ゲーム機「ゲームボーイ」はセガの「メガドライブ」やNECの「PCエンジン」など高画質のゲーム機のあとに発売されたため、モノクロ画面であることが不安視される向きもありましたが、『ポケットモンスター赤・緑』など多くのヒット作を生み出し最終的には累計1億台以上を売り上げました。通信機能がないことを知らずに「スーパーゲームボーイ」を購入してしまい、あとで「ゲームボーイ」も買う羽目になったライターの早川清一朗さんが当時の記憶を語ります。

* * *

 正直な話、「ゲームボーイ」には当初まったく興味がありませんでした。当時高校生だった筆者は、家に帰れば「ファミコン」があり、後に「PCエンジン」「メガドライブ」も追加されました。ゲームセンターに行けば家庭用ハードよりもはるかにグラフィックや音楽が優れたゲームをプレイすることができました。自転車通学だったので、電車の中でゲームをプレイするという選択肢もありませんし、少々ガラの悪い地域に住んでいたので、街中で見せびらかすような真似をすれば、取られてしまう可能性も十分にありました。
 
 要は、「ゲームボーイ」が生活のなかに入り込む余地はない状況だったのです。修学旅行の時などに借りてプレイしたときはかなり楽しんでいた記憶はありますが、それ以外の状況だと、より優れた性能を持つゲーム機のタイトルを遊んだほうがよかったというのもあります。

 そんな筆者がまず「ゲームボーイ」の凄さを知ることになったのは、1991年に勃発した「湾岸戦争」の際のエピソードです。クウェートに侵攻したイラクと戦うためにアメリカを中心に約30の国で多国籍軍が編成された際、待機中の兵士の慰労のために日本から支援物資が届けられました。そのなかに、「ゲームボーイ」の姿があったのです。

 大きな体の兵士たちが笑顔で『テトリス』に興じる姿は見ていてほほえましいものがありましたが、場所は戦場です。当然、攻撃にも巻き込まれることになります。しょせんおもちゃである「ゲームボーイ」が戦争に巻き込まれればどうなるか。

 そう、爆撃を受けても壊れなかったのです。

■黒焦げになりながらもまだ動く「ゲームボーイ」

『ポケットモンスター緑』(任天堂)

 最初にそれを見たのはTVだったと思います。爆撃に巻き込まれて黒焦げになった「ゲームボーイ」の画面がまだ点灯しており、『テトリス』が映し出されていました。

 確かに子供は物を乱暴に扱います。手にしていた物を地面に落とすなどというのはしょっちゅうです。筆者も子供のころにやはり任天堂が発売していた携帯用ゲーム機「ゲームウォッチ」の『オクトパス』を買ってもらいよく遊んでいましたが、多少乱暴な扱いをしても、壊れることはありませんでした。それだけ頑丈さにはこだわった作りとなっていたのでしょうが、それでも爆弾をくらって原形をとどめるどころかまだ動くのですから、任天堂のものづくりの姿勢には本当に驚かされました。この壊れたゲームボーイはニューヨークの任天堂直営店である「Nintendo New York」で展示されており、『テトリス』のデモ画面が動いている姿を見ることができます。

 その後、1996年に発売された『ポケットモンスター赤・緑』の爆発的大ヒットにより、「プレイステーション」や「セガサターン」といったはるかに高性能なゲーム機が販売されているにも関わらず、「ゲームボーイ」は主力ゲーム機としての地位を確立し続けました。

 グラフィック、ムービー、サウンド、これらの要素はゲームの世界をより高みに導く要素ではあっても、ゲームそのものの面白さを突き詰めれば十分に対抗できることを世に知らしめたのが、「ゲームボーイ」だったのではないかと思えます。

 電池が切れそうになり、徐々に薄くなっていく画面で必死になって最後の1プレイに挑戦した日々ははるか遠い日々となりましたが、今も確かに記憶のなかに残っています。

 無数に登場した「ゲームボーイ」たち携帯用ゲーム機の系譜は「3DS」へと昇華し、今では「Nintendo Switch」へと引き継がれ、多くの人を楽しませ続けています。任天堂がゲームの本質を追求し続ける限り、この流れはずっと続いてくれることでしょう。

(早川清一朗)

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