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新型コロナ蔓延の今、漫画『デビルマン』が気づかせてくれる「人間の心」とは?

マグミクス / 2020年4月21日 17時10分

新型コロナ蔓延の今、漫画『デビルマン』が気づかせてくれる「人間の心」とは?

■「人間 vs 悪魔」の構図をとったマンガ版『デビルマン』

 現在、日本はもとより世界中で猛威を振るっている『新型コロナウイルス』ですが、国内では2020年4月20日(月)の段階で感染者1万人以上、死亡者171人、国外では感染者が200万人以上、死亡に至っては15万人以上となっています。

 目に見えない新型ウイルスという敵に対し、感染拡大を抑えるべく東京オリンピックが延期となり、全国各地のイベントも同様に中止あるいは延期、飲食店やカラオケ店、スポーツジムなどが休業、海外でもパリやニューヨークなどの都市で外出禁止令が施行され、先の見えない不安と恐怖が世界を覆っています。こうした状況について、あるひとつの作品が世相とリンクするように、筆者の脳裏に浮かびあがります。

 それは、1972年から1973年にかけてNET系列(現・テレビ朝日)でTVアニメが放送され、同時期に「週刊少年マガジン」で連載された、永井豪先生による『デビルマン』です。

 主人公である不動明が「デビルマン」となり、地球の先住者である悪魔、「デーモン族」と闘いを繰り広げるという内容なのですが、アニメ版とマンガ版ではそのアプローチが大きく違うものとなっています。

 講談社の文庫版『デビルマン』1巻のあとがきである「デビルマン黙示禄』を永井豪先生自らが執筆しているのですが、そもそも『デビルマン』はアニメ版が先行した企画で、アニメでは「悪魔VS悪魔」というダークヒーローものだったが、読者の年齢層が高かった当時の「マガジン」に合わせ、よりリアリティを追求した内容に変更したとのこと。これにより、「人間VS悪魔」がメインテーマとなったのです。

 実際、アニメ『デビルマン』の設定では「不動明に乗り移った悪魔」ですが、マンガ版の方は「人間、不動明が悪魔の能力を乗っ取り、デーモン一族と闘う」と、異なる設定になっています。

■「きさまらは人間のからだをもちながら悪魔に! 悪魔になったんだぞ!」

『デビルマン』の主人公・不動明(左)と飛鳥了(右)。ふたりの関係は物語の核心に関係して……。 (C) 永井豪/ダイナミック企画

 もちろん、マンガ版も当初は「妖獣シレーヌ」や「ゲルマー」、「ジンメン」などのデーモンとの闘いをメインに描いているのですが、物語が後半に進むにつれ、「人間のおどろおどろしさ」を炙り出すダークな内容に変化していきます。

 特に「デーモン族」が人間への無差別合体を始め、世界がパニック状態になってからの展開は、いまの現実を彷彿とさせるものです。突如、隣の住人が「悪魔になった」と疑い、「悪魔狩り」を始める人間のさまは、「悪魔よりも悪魔的」です。

 いまの世の中の一部では、日々新型コロナウイルスと最前線で闘っている医療関係者に対して「コロナじゃないのか?」という疑念を抱き、根拠のない差別やイジメをする人もいるという話や、宅配便のスタッフに対して、いきなり消毒スプレーを吹き付けて不遜な態度で接する人もいるという、にわかに信じがたい話も聞かれます。

 姿の見えないウイルスに対し恐れを抱く気持ちは理解できますが、やはりどんな状況下においても決して忘れてはならないのは相手に対する敬意と「人間の心」です。

 マンガ版における「悪魔特捜隊本部」で人間が人間を虐殺する光景を目にした「デビルマン」が怒りに打ち震え、「おれはからだは悪魔になった……だが人間の心をうしなわなかった!」「きさまらは人間のからだをもちながら悪魔に! 悪魔になったんだぞ!」と叫ぶシーンは、まさに同作品を象徴するものです。

 マンガ版『デビルマン』は最終的に、人類滅亡後に不動明率いる「デビルマン軍団」とサタン率いる「デーモン族」の最終戦争に突入するのですが、現実世界に生きる我々は『デビルマン』という名作を教訓に、先の見えない新型コロナウイルスという苦難を前にしても、「人間の心」を失わずに共に乗り越えたいものです。

(渡辺まこと)

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