夢の英雄「タイガーマスク」描いた『プロレススーパースター列伝』、衝撃受けた真相の数々
マグミクス / 2020年4月30日 16時10分
■物語序盤から「正体」についてきわどい描写
作品のなかに実在の人物を登場させ、リアリティあふれる物語を展開する……希代の劇画原作者、梶原一騎先生の作品では『巨人の星』や『四角いジャングル』、『空手バカ一代』などによく見られる手法ですが、ここに紹介する『プロレススーパースター列伝 夢の英雄! タイガーマスク編』(作:梶原一騎 画:原田久仁信)は、ある意味その究極系といえるかもしれません。
1968年、講談社「ぼくら』で連載がスタートし、翌年からテレビアニメが日本テレビ系列で放映された『タイガーマスク』(作:梶原一騎 画:辻なおき)が歴史に名を残す名作であることに異論を挟む方は少ないと思いますが、そのタイガーマスクが現実のレスラーとして1981(昭和56)年に新日本プロレスに登場。アラフィフ世代なら、「金曜8時」というゴールデンタイムで毎週試合がNET系列(現・テレビ朝日)で放映され、一大センセーションを巻き起こしたことを覚えている方も多いと思います。
『プロレススーパースター列伝』(以下、列伝)の「タイガーマスク編』は、その当時の「初代タイガー」の活躍を描いたもの。当時はアニメで『タイガーマスク二世』の放映が開始され、現実の世界でも1981年4月23日の蔵前国技館に「謎のレスラー・タイガーマスク」が鮮烈なデビューを果たすのですが、そこはやはり『列伝』クオリティー。作中でほのめかす、というレベルではなく、アッサリと「初代タイガーマスク=佐山サトル」という正体を暗にバラしてしまっていたりします。
もちろん、作中でハッキリと「タイガー=佐山」ということは書いていないのですが、「では、タイガーマスクの正体が、かりに佐山サトルとすれば……」という注釈の後に、「佐山サトル対マーク・コステロ戦」にストーリーが展開。当時、小学校6年だった筆者もオンタイムでタイガーマスクのデビュー戦をテレビで見たのですが、『列伝』の「タイガー編」が連載開始となった中学1年生の頃には、タイガーマスクの正体を「週刊少年サンデー」で連載されていた作品をとおして「なんとなく」知ってしまった次第です。
■究極の「梶原ファンタジー」? 佐山サトル氏描いた物語
ちなみに、実在の「タイガーマスク」は人気絶頂だった1983年9月に突如引退し、テレビ朝日系列で放映されていた『欽ちゃんのどこまでやるの!?』にゲスト出演。マスクを自らの手で脱いでしまうのですが、当時の筆者は「正体=佐山サトル」であることを知った風な気分であったにも関わらず、バラエティー番組ではじめて見た素顔に衝撃を覚えたのも、今となっては懐かしい思い出です。
そして衝撃といえば、この『列伝』。
やはり、後から知る「真相」があれよ、あれよと出てくるのですが、実際の佐山選手が白覆面の「ティグレ・エンマスカラド」、あるいは目のまわりにメーキャップでくまどりを描いた「ミスター・カンフー」として活動した事実はないとのこと。メキシコ時代のライバル、「ブラック・ブロンコ」も架空のレスラーであったことを知った時のショックは、「火の酒テキーラ」をあおらなければ忘れられなかったことは言うまでもありません。
現在、ニュースによると初代タイガーマスクこと佐山サトル選手はパーキンソン病の疑いがあると診断され、闘病生活を送っているとのことですが、やはりそこは夢の英雄。今は回復の方向に向かっているそうです。
たった2年弱の活動期間にも関わらず『四次元殺法』で一大ブームを巻き起こし、後の『UWF時代』に『スーパータイガー』に名を変え、『シューティング(修斗)』を設立し、現在の総合格闘技の礎を築いたといっても過言ではない希代の天才レスラー、初代タイガーマスク(ザ・タイガーやタイガーキングに関しては割愛)。
『列伝』ではメキシコの「ウルトラマン」戦で一旦物語の幕を閉じますが、レスラーとしてのキャリアは紆余曲折を経て62歳の今もなお現役。病を克服し、再び元気な姿を現実のリングで我々に見せてくれることを祈るばかりです。
(渡辺まこと)
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