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『ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者』 30年過ぎても恐怖のサウンドに震える

マグミクス / 2020年4月27日 12時10分

『ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者』 30年過ぎても恐怖のサウンドに震える

■プレイ中、リアルに心臓が飛び跳ねた

「あやしろのいえにあだなすものあらば われしごのせかいよりよみがえりて そのものにわざわいをもたらさん…」

 この恐ろしげな文言は、1988年4月にリリースされたディスクシステム(FCDC)用ソフト『ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者』(以下『消えた後継者』)で流れるオープニングメッセージです。2020年で誕生から32年を迎えますが、プレイ中にリアルに心臓が飛び跳ねた経験はこの先も忘れそうにありません。「任天堂のファミコン向けアドベンチャーゲームでしょ?」と侮ることなかれ、本作は期待を超える”恐怖”を体験させてくれました。

『消えた後継者』はコマンド選択方式を採用したアドベンチャーゲーム。シナリオのテイストや世界観こそ違いますが、任天堂がおくる同系統タイトル『ふぁみこんむかし話 新・鬼ヶ島』(1987年発売)に続く作品です。聞き込みで情報を集める。カーソルを合わせて怪しい箇所を調べる。証拠品を第三者に見せて手がかりを引き出す等々、足を使って情報を稼ぐプレイフィールに仕上がっていました。

 物語冒頭、プレイヤーは私立探偵の助手を務める17歳の少年となり、明神村で発生した不審死の謎を追いかけていきます。名家で巻き起こる遺産相続トラブルと明神村に伝わる不気味な伝説。前後編にわたって発生する殺人事件、そして記憶をなくした主人公の過去が明かされるクライマックス……。後編は張り詰められた伏線が一気に回収されることで、ただ事件の謎を解明する以上の感動を味わえます。

 原作担当者は『メトロイド』生みの親として著名な坂本賀勇氏。未経験ながらも『消えた後継者』のストーリーを書き上げ、後に『カエルの為に鐘は鳴る』や『メトロイド』シリーズを含む数々のタイトルでシナリオを手がけています。

■恐怖をより増幅する演出パーツとしてのサウンド

 上述の通り、本作はいたる部分にプレイヤーの心臓をグワッと掴むような演出がふんだんに盛り込まれていました。明神村の伝説と殺人事件を巧妙に絡めたシナリオも十分に怖いのですが、筆者は突発的に鳴り響く”サウンド”に何度も驚かされたのです。

 多くのゲーム作品が演出パーツとして効果音やBGMを重要視するのと同様、『消えた後継者』もサウンドを用いた場面転換が効果的に働いています。例えば聞き込み中に幾度となく耳にする「ティロリロティロリロ~」という効果音。重要なキーワード等を発見した際に流れる機能性の反面、無音状態で突然流れ込む高音に肝が冷えた方も多いのではないでしょうか。

 効果音に勝るとも劣らない恐ろしさを象徴する音色と言えば、殺人事件を知らせるBGMも欠かせないでしょう。「キィィィィン……キィィィィン」と響き渡る耳鳴りのようなメロディーは、モニター上に映るドット絵で描かれた被害者の姿と重なることで恐怖を最大限に増幅。BGMがなりそうなポイントを予想できるならまだしも、軽快なサウンドから不意打ち同然に転調した際の怖さは格別です。

 特に後編パートで遭遇する死体発見シーンは忘れられません。捜査のために海上の崖を訪れた主人公たち。波の打ち付ける音だけが静かに聞こえる最中、「うみに、おんながうかんどる!」と形相を変えて叫ぶ協力者の一声が。その瞬間、思い出させるかのように例のBGMが事件の到来を告げ、変わり果てた女性被害者が姿を現します。プレイヤーの心情と行動パターンを全て見通しているような演出作りに、開発陣の強いこだわりと技量の高さを垣間見ました。

 30年以上を経ても色褪せることのない『消えた後継者』。任天堂が2019年9月に発表した情報によると、Nintendo Switch向けに本作および続編『ファミコン探偵倶楽部 後ろに経つ少女』のリメイクが製作されている模様。名作アドベンチャーゲームがどのように生まれ変わるのか。今から気になって仕方ありません。

(龍田優貴)

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