ファミコン版『キャプテン翼』 「キャラゲーはクソゲー」の法則を打ち破る!
マグミクス / 2020年4月28日 16時40分
■世界中から愛された『キャプテン翼』
1988年4月28日にテクモから発売されたファミコン版『キャプテン翼』は、TVアニメ終了から2年が経ってから登場したにも関わらず、そのゲーム性の高さから人気作となりました。その後、多くの続編が作られファミコン・スーパーファミコン時代に発売されたキャラクターゲームのなかでもトップクラスの作品として、今も高い人気を誇っています。初めて買ってもらったマンガが『キャプテン翼』だったライターの早川清一朗さんが、「キャプ翼愛」を語ります。
* * *
『キャプテン翼』。とても懐かしく、思い入れがあるタイトルです。ちょうど筆者が小学生だったころ、テレビ東京で放送が開始されたTVアニメ『キャプテン翼』は子供たちの間で大ブームとなりました。その後、世界中で放送された『キャプテン翼』はやはり大人気となり、超一流サッカー選手の中にも多くのファンがいるほどの高い認知度を誇っています。
イラクに自衛隊が派遣された折にも、警戒して外に出てこない現地の方への配慮として、集英社から許諾を取り付け給水車に『キャプテン翼』の絵を貼ったところ、子供たちが喜んで飛び出してきて円滑な支援が行えるようになったというエピソードすら存在しています。まさにひとつの時代を作り上げた、日本を代表する作品と言っても過言ではないでしょう。
筆者もTVアニメで『キャプテン翼』にハマり、夢中でサッカーボールを追いかけていた時期があります。運動神経が悪くオーバーヘッドキックはできなかったので、代わりにツインシュートを友だちと何度も練習して、お互いの足を蹴飛ばして痛がっていた記憶があります。母親にせがんで単行本を買ってもらい、アニメより先の展開を知って友だちに自慢していたこともありました。
さて、大人気だったTVアニメですが、1986年3月に最終回を迎えてしまいます。実はこのときすでにファミコンゲームの発売が決まっており、雑誌に予定も出ていたのですが、アニメ放送中には発売されませんでした。その後も発売延期を繰り返し、店頭に並んだのは、放送終了後から2年以上が経過した1988年4月になってから。アニメの人気がある内に販売するのが定番となっていたキャラクターゲームとしては、異例の出来事でした。
■「くっ! ガッツがたりない!」
『キャプテン翼』も収録された『ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ 週刊少年ジャンプ創刊50周年記念バージョン』(任天堂)
ゲーム発売の時期には、筆者は中学生になっていました。
「小学生のころにハマっていたものに中学で手を出すの、カッコ悪い」
という思春期特有の恥ずかしさもあり購入はしませんでしたが、友達が買ったと聞いていそいそとお邪魔したのは、結局『キャプテン翼』が大好きだったからなのでしょう。
そうして目の当たりにしたファミコン版『キャプテン翼』は、凄まじいレベルのゲームに仕上がっていました。何と言っても驚いたのは、ファミコンのゲームだとはとても思えない、ドリブルをしている選手のアニメーションです。さらに地平線の彼方へと消えていくグラウンドも、アニメではしばしば見られた地平線から現れるゴールを連想させてくれる抜群の演出となっていました。
BGMもアニメの主題歌『燃えてヒーロー』がうまくアレンジされており、聞きなれた懐かしいメロディーに耳を済ませた記憶があります。
ゲーム自体はコマンド選択式となっており、細かな操作を必要としないタイプだったのが当時は少々残念に感じましたが、数年前にプレイしてみたところ、アクションがないのは逆に遊びやすいと感じました。低年齢層や女性プレイヤーへも間口を広げるためには正解だったのかもしれません。
また、コマンドを使用するとガッツを消費するのも面白い仕組みでした。キャラクターごとの能力にかなり差があるゲームだったので、どうしても翼くんを始めとする主力メンバーに頼る形になるのですが、頼りすぎていざゴール前で「くっ! ガッツがたりない!」となる場面もしょっちゅうでした。
この作品でよく「ふっとばされた!」ネタになる森崎くんですが、実際プレイしてみるとパンチングをしておけば、日向くんを除けばけっこうなんとかしてくれた記憶があります。実際問題Jrユース編で若島津くんが使えるようになるまでは選択肢がないのでどうしようもないわけですが。
他にもやはりファミコンとは思えないキャラ画像や、アドベンチャーシーンでの岬くんとの再会など、時間がかかっただけのことはある素晴らしいゲームでした。当時のテクモ開発陣の方々は大変な苦労をされたと思います。ここでお礼を述べさせていただければと思います。
※作中のTVアニメ版『キャプテン翼』は、1983年から1986年にかけて放送された第一作を指します。
(早川清一朗)
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