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『孔雀王』萩野真氏の一周忌 何度も練習した「臨兵闘者皆陣列在前」を思い出す

マグミクス / 2020年4月29日 14時50分

『孔雀王』萩野真氏の一周忌 何度も練習した「臨兵闘者皆陣列在前」を思い出す

■「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前!」

 2020年4月29日は59歳で亡くなった漫画家・萩野真氏の一周忌。1985年に「ヤングジャンプ」で連載を開始した『孔雀王』は大ヒット作品となり、当時の若者の間で「臨兵闘者皆陣列在前」こと九字護身法が流行するほどの影響力を与えました。その後シリーズ化した『孔雀王』は掲載誌を変え2019年まで連載が継続、萩野氏は病床にて『孔雀王-戦国転生-』『孔雀王ライジング』両作品の最終回を書き上げ、漫画家としての人生を全うしました。ちょうど中学生のころに『孔雀王』の映画を観て、友達と一緒に九字護身法を練習していたライターの早川清一朗さんが、萩野氏を追悼します。

* * *

 筆者が最初に触れた『孔雀王』は1988年に公開された劇場版でした。当時の友達と一緒に見に行ったのですが、孔雀を演じる三上博史さんが「臨兵闘者皆陣列在前!」の掛け声とともに切った滑らかな九字護身法の記憶が異様なまでに脳にこびりついています。そのごしばらく、友達と一緒に九字護身法を練習し、「臨兵闘者皆陣列在前!」印を切りながらじゃれあっていました。

 当然、発売されていた単行本も購入したのですが、掲載誌が「ヤングジャンプ」だったこともありきわどいシーンが多く、友達から「貸して!」と頼まれることもしばしば。また孔雀の格好良さからか、同級生の女の子にも「貸してほしい」と頼まれることがあり、ああいうシーンを見たらどう思うんだろうと少しドキドキしながら貸してあげていたことを思い出します。

 さて、そんな『孔雀王』の連載が開始されたのは1985年、今から35年前になります。この年はプラザ合意による一時的な円高不況や御巣鷹山に日本航空123便が墜落する事故などが発生し、社会を薄暗い影が覆っている時期ではありましたが、直後にバブル時代が訪れる、未来に希望が待っている時代でもありました。

 持ち込み活動を行っていた若かりし頃の萩野氏は、小学館に持ち込んだ際に酷評され、直後にすぐ近くにあったヤングジャンプ編集部に持ち込んだところ高評価を受け、マンガの世界に飛び込みます。しばらくアシスタントとして腕を磨いた萩野氏は、1985年、満を持して『孔雀王』の連載を開始、漫画家生活をスタートさせるのです。

■宗教マンガの立役者に

『孔雀王 退魔聖伝』 巻之一Kindle版(サード・ライン)

 連載開始直後から高い人気を誇った『孔雀王』は、単行本発売時にもエピソードを残しています。1巻の印刷部数は5万部だったのですが、販売開始数時間で売り切れてしまい、萩野氏は単行本が書店に並んでいないと勘違いしてしまったそうです。

 そうして連載開始から3年後、順調に人気を獲得していた『孔雀王』は三上博史&ユン・ピョウのダブル主演で劇場映画化を果たします。今思い返すと日本映画というよりも香港映画のテイストが強く、三上氏よりもユン・ピョウの格闘アクションが強く印象に残っている気がします。

 さらには1988年から1991年にかけて3本のOVAが製作され、孔雀の声優を関俊彦さんが務めています。関さんは最近でも『鬼滅の刃』の鬼舞辻無惨役を演じており、実力派声優として活躍を続けておられるのがうれしいところです。

 1989年にはいったん連載は終了してしまいますが、1990年から1992年にかけて続編となる『孔雀王 退魔聖伝』を連載、退魔聖伝の終了後は『夜叉鴉』『小類人』『拳銃神』『怨霊侍』などホラー、オカルト、SF、ガンアクションなど多様なテーマの作品を執筆し続けました。

 しばらく空白期間が空いた『孔雀王』ですが2006年に第三部『孔雀王 曲神紀』の連載が開始。2012年には掲載誌を変え「月刊!スピリッツ」で『孔雀王ライジング』、「コミック乱ツインズ 戦国武将列伝」で、『孔雀王 戦国転生』の同時連載を敢行、2019年に完結を迎えました。

『孔雀王』がマンガ界に与えた影響は大きく、1980年代後半には宗教をモチーフにした作品が一大ブームを起こします。菊池としを先生の『明王伝レイ』や、永久保貴一先生の『カルラ舞う!』など、数え上げれば枚挙にいとまがありません。

 今思い返すとひとつ残念だったのが、この時代はそれほどアニメの本数が多くはなく、深夜アニメも一般的ではなかったことです。今のようにアニメが大量に製作されている時代であれば、TVアニメ『孔雀王』を目にすることも可能だったかもしれません。仮に今から作られたとしても、それを萩野先生が見ることはできないのは残念です。

 そして萩野先生、かわいいかわいい阿修羅を世に送り出してくださり、ありがとうございました。

(ライター 早川清一朗)

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