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トラウマ作『ザンボット3』がスパロボ参戦 子供向けアニメでやったのか?と絶句

マグミクス / 2020年5月4日 8時10分

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■次々と倒れていく主人公のファミリー

 スマホアプリ『スーパーロボット大戦X-Ω』に期間限定での参戦が決定した『無敵超人ザンボット3』(1977年放送)は、総監督富野喜幸(現:富野由悠季)氏による残虐無惨な描写や凄惨な人間模様などで当時の子供たちにさまざまなトラウマを残した作品でした。子供時代に『ザンボット3』を見ることなく育ち、大人になってから全話を視聴して絶句した経験を持つライターの早川清一朗さんが、想いを語ります。

* * *

「勝平! お前だけでも生きろ!」

 大気圏で燃え尽きようとするザンボエースを救い、主人公・神勝平の兄たちは死んでいきました。初めてこのシーンを見たとき筆者は、「なんでだ、なんでそこまでするんだ。どうしてそこまでして死なせてしまうんだ」と、呆然としていました。

 このとき筆者は大学生。残念ながら子供時代に『ザンボット3』を見る機会はなかったのですが、うわさはちょくちょくと聞く機会がありました。

 特撮やアニメでは子供にとんでもない恐怖心を与えるような作品がたまに放送されており、それらは「トラウマ回」と呼ばれていましたが、その話をしていると必ず出てくるのが『ザンボット3』の人間爆弾だったのです。「主人公と仲のいい女の子が爆弾に改造されて爆死する」という話を聞いて、いやまさかそんな話はないだろうと思っていたのですが、『ザンボット3』が初参戦した『第四次スーパーロボット大戦』の全コース制覇のために13話の分岐で「人間爆弾の恐怖」コースを選択し、アキが爆死するシーンを見る羽目になりました。

 これを本当に子供向けアニメでやったのか? 予備知識なしで見たらそりゃあトラウマにもなるだろう! そう思い、なんとか『ザンボット3』を見ようと試みましたが、この時期はまだ再放送を録画している人に借りるしか手段がなく、残念ながら手に入りませんでした。しかしスパロボ効果か、しばらく後にLD-BOXが発売され、ついに本物の『ザンボット3』を見ることができるようになったのです。

 発売日にBOXを購入した筆者は、「よし、一気に全話見よう!」と思い立ちましたが、見始めてすぐ、それは無理だと悟りました。

 一つ一つの話があまりにも痛々しく、重すぎたのです。

■命がけの人々を迫害する醜さ

『無敵超人ザンボット3』 DVDメモリアルボックス(バンダイビジュアル)

 謎の宇宙人「ガイゾック」に故郷のビアル星を滅ぼされ、地球へと移民したビアル星人の末裔である神ファミリーは、今度は地球に攻め込んできた「ガイゾック」相手にザンボット3や移動要塞キングビアルなど先祖が残した遺産を武器に、一族を挙げての戦いを挑みます。

 地球を守るために命がけの戦いを繰り広げる神ファミリーに対し、地球人たちは「ガイゾックはあいつらを追ってきた。俺たちは巻き込まれたんだ」と誤解し、迫害します。

 友人に罵倒され、石を投げられながらも戦い続けた神ファミリーは、番組後半になり、ようやく「ガイゾック」の容赦ない殺戮は自分たちに向けられていることに気付いた地球人たちと和解し、共に戦うようになります。地球側にザンボット3の設計図が渡されるシーンがあったので、最終話あたりに量産型ザンボット軍団でも登場するのかと思いきや、そういうわけでもなかったのが、少々残念でもありました。

 とはいえ、主人公機の量産という概念はこの時代では珍しく、1980年代前半に『銀河烈風バクシンガー』の量産型バクシンガーや『魔境伝説アクロバンチ』の量産型アクロバンチなどでようやくアニメに登場するようになります。1977年の時点で量産を匂わせただけでも、冨野監督の天才性の片鱗が伺えるエピソードと言えるでしょう。

 そうしてガイゾックとの最後の戦いに臨んだ神ファミリーは、ひとり、またひとりと壮烈な戦死を遂げていきます。勝平と共にザンボット3で戦った恵子と宇宙太も命を散らし、ザンボエースに登場していた愛犬の千代錦すら戦死する状況下、生き残ったのは勝平と、地球に残されていた母親のみ。

 ラストでは、かつて神ファミリーたちを迫害していた地球の人々が、勝平の名を呼びながらうれしそうに駈け寄ります。すべての話を見終えた筆者にとって、このシーンによりもたらされた救いはとてつもなく大きなものでした。

 翻って、現在の日本では、新型コロナウイルス感染症治療の最前線に立つ医療従事者や、物流を担うトラックドライバーなどに対し、差別的な言動が少なからず起きていると聞きます。筆者の目には、これらは神ファミリーを迫害していた地球人たちと重なって見えてしまいます。40年以上の時間が経っても、人の本質はさほど変わりがないのでしょうか。しかし人はきっと、気付きや学びを得て冷静な対応が取ることができる。そう信じております。

(ライター 早川清一朗)

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