1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. アニメ・コミック

『未来少年コナン』が放映された1978年 日本は空前のアニメ&SFブームに沸いた

マグミクス / 2020年5月6日 14時50分

『未来少年コナン』が放映された1978年 日本は空前のアニメ&SFブームに沸いた

■宮崎駿監督が監督デビュー、名作が次々登場した「当たり年」

 宮崎駿監督の監督デビュー作となるTVアニメ『未来少年コナン』の、デジタルリマスター版による再放送が、2020年5月3日(日)深夜からNHK総合で始まりました。NHK初の国産TVアニメシリーズ『未来少年コナン』は宮崎監督の驚異的な演出力もあって、 TVの前の子供たちを釘付けにしました。

 宮崎監督は翌1979年に長編アニメ『ルパン三世 カリオストロの城』で、劇場監督デビューを果たすことになります。また、1979年は『機動戦士ガンダム』が、テレビ朝日系で放送開始しました。そのことから、1979年はアニメファンにとって「奇跡の年」として語られています。

 ですが、『未来少年コナン』が放映された1978年も、後世に残る名作アニメが次々と登場した「当たり年」でした。日本初のアニメ雑誌「アニメージュ」が徳間書店から発刊されたのも、この年です。

■1年で爆発的な広がり見せた、松本零士原作のアニメ

『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』 (C)東北新社/著作総監修 西﨑彰司

 劇場版『宇宙戦艦ヤマト』が大ヒットし、「アニメブーム」が起きたのが1977年です。『宇宙戦艦ヤマト』の大ヒットを受けて、劇場版第2弾『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』が1978年8月に公開され、前作以上の大ヒットとなりました。

 また、歌手の沢田研二さんは、『さらば宇宙戦艦ヤマト』の主題歌「ヤマトより愛をこめて」を、同年に放送開始した音楽番組「ザ・ベストテン」で熱唱。その年の10月からはTVシリーズ『宇宙戦艦ヤマト2』が日本テレビ系で放送開始されます。映画、主題歌、TVシリーズと、『さらば宇宙戦艦ヤマト』はメディアミックス戦略により、幅広いファンを獲得。アニメブームの牽引役を担いました。

『さらば宇宙戦艦ヤマト』では監督も務めた漫画家の松本零士さんは、この年多忙を極めます。松本零士さん原作の『銀河鉄道999』がフジテレビ系で放映がスタートしたのも1978年。翌1979年にはゴダイゴが主題歌を歌う劇場版『銀河鉄道999』が公開され、やはり大ヒット。謎の美女メーテルの正体に、多くのファンが驚きました。

 1978年は松本零士さんのもうひとつの代表作『宇宙海賊キャプテンハーロック』も、テレビ朝日系でTVアニメ化されています。冒険とロマンに満ちた『銀河鉄道999』と『キャプテンハーロック』は、欧州でも広く愛されています。

■『ガンダム』に影響を与えたSF作品

『スター・ウォーズ エピソード4 新たなる希望』DVDリミテッド・エディション(20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン)

 1978年のポップカルチャーシーンを語る上で最も重要なのは、SF映画『スター・ウォーズ』のシリーズ第1作が日本で劇場公開されたということです。洗練された宇宙船やストームトルーパーなどのデザインは、まさに衝撃的でした。ジェダイの騎士たちが操るライトセーバーは、『機動戦士ガンダム』のビームサーベルに影響を与えることになります。

 前年の1977年に米国で公開された『スター・ウォーズ』によって、日本にもSFブームが到来することを見越し、東映は深作欣二監督に『宇宙からのメッセージ』を作らせ、日本での公開が1978年6月だった『スター・ウォーズ』よりも少し早い4月に公開しています。『宇宙からのメッセージ』は興収的には惨敗しましたが、東映は同年7月から真田広之主演のTVドラマ『宇宙からのメッセージ 銀河大戦』(テレビ朝日系)をオンエアします。『宇宙からのメッセージ』のミニチュアなどが、ちゃっかり流用されていました。

 アニメブームとSFブームが融合し、1978年は数多くのSFアニメが話題を呼びました。 NHKは『未来少年コナン』の後番組に米国のSF作家エドモント・ハミルトン原作の『キャプテン・フューチャー』を、フジテレビはタツノコプロの人気アニメ『科学忍者隊ガッチャマン』の4年ぶりとなる続編『科学忍者隊ガッチャマンII』を放映。テレビ朝日系で放映された巨大ロボットアニメ『闘将ダイモス』は、聖悠紀さんがキャラクターデザインを手掛けたイケメンキャラたちで女性ファンの人気を集めました。

■「幸せの予感」に震えた1978年

『無敵鋼人ダイターン3』 (C)創通・サンライズ

 1978年に放映された巨大ロボットものと言えば、富野由悠季監督の『無敵鋼人ダイターン3』(テレビ朝日系)も忘れられません。富野監督の前作『無敵超人ザンボット3』がシリアス路線だったのに対し、『無敵鋼人ダイターン3』は明るくコミカルな内容でした。

 それだけに、主人公の波嵐万丈が父親の残した負の遺産・ドン・ザウサーを倒した最終回は、何とも言えない寂寥感が漂いました。復讐を遂げた万丈が姿を見せないラストシーンが、とても印象的でした。また、『ダイターン3』が商業的に成功したことで、富野監督は『機動戦士ガンダム』に挑戦できたことも特筆するべきでしょう。

 1978年はプロ野球のヤクルト・スワローズが初優勝を遂げ、薬師丸ひろ子さんが角川映画『野性の証明』で女優デビューを果たし、サザンオールスターズが「勝手にシンドバッド」で賑やかなデビューを飾った年でもあります。

 1979年の『機動戦士ガンダム』と『ルパン三世 カリオストロの城』を経て、1980年代に日本のアニメ文化は百花繚乱の時代を迎えます。『未来少年コナン』のエンディング曲になぞらえれば、1978年はアニメファンが「幸せの予感」に震えた年だったのではないでしょうか。

(長野辰次)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください