『クレヨンしんちゃん』ひろしの良きパパッぷり4選 子供の夢で体はボロボロ…

■しんのすけの無茶ぶりにも、奮闘するひろし

　2022年に放送開始から30周年を迎えるアニメ『クレヨンしんちゃん』。嵐を呼ぶカスカベの5歳児・野原しんのすけのおバカな日常を毎週楽しみにしている方も多いと思います。この記事では、そんなしんのすけの「父」であり「おバカ」の相棒でもある野原ひろしに注目。その奮闘と良きパパっぷりが分かる近年のエピソードをご紹介します。

●おもちゃのお片付けを楽しくするために

　まずは「宇宙探査機ごっこだゾ」というエピソードから。いつものようにおもちゃを出しっぱなしにしたまま片付けないしんのすけは、みさえから怒られてしまいます。しかし、しんのすけは「どうせまた散らかるんだから片付けなくても一緒」とへりくつを言って片付けようとしません。そんなしんのすけのためにひろしは、片付けを楽しくできるよう「宇宙探査機ごっこ」をやろうと提案します。惑星探査機・はやぶさが惑星から石を持ち帰ったように、しんのすけ自身が探査機となり、おもちゃをピックアップしておもちゃ箱に持ち帰るという“遊び”です。男にとって宇宙という言葉には謎のロマンがあります。この提案にしんのすけも「お～楽しそう！」と乗り気に。

　しかし、ここからがひろしは大変。しんのすけの体に取り付けた紐を腕で持ち上げたまま部屋中を移動しなければなりません。案の定、途中で腕がプルプルと震え出し筋肉の限界を迎えます。が、それでもなんとか耐えるひろし。最後、テーブルの下にあったアクション仮面フィギュアをしんのすけが救出したところで腰をビキッとやりダウンしてしまいましたが、最後までしんのすけのやる気を保つために奮闘した良きパパっぷりでした。

●子供の夢を壊さない

　ひろしは基本、しんのすけの夢を壊さないようにどこまでも付き合います。「無人な食堂だゾ」というエピソードでは……“従業員がロボット”というレストランにふたりで入るのですが、早々にひろしはロボットの中身が普通のおじさんということに気付きます。ですが、しんのすけの夢を壊さぬよう、おじさんと話を必死に合わせたり、パーツが外れて中身が見えそうになるのをフォローしたりと奮闘します。結局、最後にしんのすけがロボットに「おじさん今日はありがとう」と言って「いや、（中身がおじさんって）分かってたんかい！」というオチだったのですが、バカらしくも微笑ましいエピソードでした。

　他にも「ラッピングバスを追え！だゾ」では、アクション仮面の絵が描かれたバスの写真を撮るためしんのすけを抱えて街中を走り回りました。5歳男子の平均体重は19kgだそうですが、子供の夢は重いです。

■ひろしとみさえがふたりきりでデートに

いろんなひろしが詰まった『クレヨンしんちゃん きっとベスト☆凝縮！野原ひろし』（バンダイビジュアル）

　子供の夢を壊さない良きパパなひろし。ひまわりに対しても、普段から一緒にお風呂に入ったり、オムツを変えたり、イケメンモデルの雑誌の切り抜きをお面のように顔にかざしてあやしたりと、細かい育児もちゃんとしています。そして、妻であるみさえのことももちろんとても大事にしています。

●妻の洋服の買い物は黙認

　家のローンが残り32年ある野原家。ひろしはおこづかい制です。普段お酒を飲むときも安い発泡酒です。みさえも食材などはスーパーでできるだけ安い買い物をし、節約を心がけています。野原家が家族で旅行に出かけたり良い物を食べたりする時はだいたい懸賞が当たったり、無料クーポンをもらったりした場合です。

　しかし、アニメではよく、ふとしたキッカケでみさえがこっそり買ったお洋服が見つかる場面が多くあります。それにひろしはどう対応するかというと……「黙認」です。「俺はいつもビール我慢してるのに」と軽いグチは言いますが、それ以上は追求しません。みさえへの日頃の感謝もあるためか、必要以上に突っ込まないのがひろしの男らしいところです。

●久々のデート

　2021年6月には「久しぶりのデートだゾ」というエピソードが放送されました。レストランの無料クーポンが当たり家族で出かけようとしていた野原家。そこに突然、秋田のおじいちゃんこと野原銀の介が遊びに来ます。ここでひろしとみさえは銀の介の計らいで、ふたりきりでデートに行くことになります。行き先は横浜。ここはふたりが初デートをした思い出の地です。「せっかくだし、あの頃のふたりに時を戻そう」と、ふたりは中華街で腕を組んで歩いたり、山下公園のベンチで夕日を見たりと良いムードになります。そして最後には、横浜の夜景に包まれるなか、観覧車に乗ったふたりの顔が近づいていくシルエットが……。改めてひろしとみさえの仲の良さが分かるエピソードでした。

　今後もひろしにはぜひ、おバカで楽しい頼れるパパの姿を見せて欲しいです。

（吉原あさお）