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車椅子で電車に乗車、中年男性から「努力しろ、歩けなくなるぞ」 理不尽な言いがかりに「頑張っての今の状態。むしろ以前よりアクティブ」

まいどなニュース / 2024年3月28日 7時16分

車椅子ラグビーのチームに所属して活動。「ラグビーやる時はラグビーを本気でやる!」(提供:車椅子系男子YYさん)

「電車にておじ様が声かけてきて まだ若いのにそんなの乗って(車椅子の事やと思われる)ちゃんと努力したり、頑張ろうってしてるのか!ずっと乗ってると余計に歩けなくなるぞって言われたんだけどwww いやw無理やねん努力しても頑張ってもw ほふぇ?!?!ってなった」

車椅子系男子YYさん(@kurumaisudansiY、以下YYさん)は、2016年に仕事中の事故で脊髄を損傷。首の骨などを折る大怪我を負いました。「マジで頑張って今の状態まで来た」という現在は車椅子で生活をしています。

ある日受けた電車内での理不尽な言いがかりをX(旧Twitter)に投稿すると、
「ようやっと車椅子で動けるようになったって方も居るのに、スゴイ上から目線やな」


「誰が好き好んで車椅子使うのか」
「頑張ればなんとかなるって発想が、もう」などのコメントが寄せられました。

また、「残念ながら女性の生きる世界ではよくあることで子供も被害に遭いやすいです。共通項は“自分が勝てるであろう弱いやつ”への加害欲求」という声も。

同じような経験をされた人が多かったことから驚きつつも、「声かけてくる人にも良い人、嫌な人がいて、言い方とか明らかに可哀想な人みたいな感じで話しかけるような人もいる。でも、オレ、全然可哀想じゃないし、若くないぞ!人生めちゃくちゃ楽しくしてて、普通におっさんやぞ!」 と話すYYさんに取材しました。

事情を知ろうともせず、一方的に口撃

その男性は、電車内でYYさんを見つけると「お兄ちゃん」と声をかけていろいろと言い、「多分骨折とかいったたぐいで、車椅子乗ってる感じに思ったのかもしれないです。神経が切れてしまって、今の医学じゃ無理なんです、みたいなことを言ったけど、若いのに!今のままじゃ何も出来ないだろ!と…」。極力相手にせず相づちを打ったそうですが、「男やのに女みたいな髪型して」と、関係ないことにまで文句をつけてきたそう。

――YYさんは、普段、ご自身のパラスポーツ活動を発信しています。こういうできごとを投稿するのは珍しいので強く印象に残りました。

「あのときは、え!!そーゆう感じの発言とかする人今でも居るんだ!!!と驚きました。自分は、“あーはいはい”と受け流したけれど、障害者になってあんまり時間が経っていない子や勇気を出して外に出ていろいろ繋がりを持とうとしている人達がこの言葉を聞いたらどうなるんだろう?と思ったんです。いろいろ考えちゃったり、嫌な気持ちになったりする人もいるかもな?と思って投稿しました」

――電車内の男性に対して、その場で反論されなかったようですが。

「これは骨折とか、怪我じゃなくて脊髄損傷で、首の骨が折れて、神経が切れちゃって…と言ったのですが、まったく通じなかったです。“若いのに!頑張らないと!”と言われたので、これ以上言ってもダメかな…?って。気持ちを切り替えて、はい!はい!って聞いてました!」

――こういうコミュニケーション、多いのですか?

「僕はそんなに頻繁にはないのですが、知り合いの車椅子の方や障害を持っている方は何かしら言われている経験を持っている印象です。車椅子以外でも、ベビーカーを押しているとそれだけで邪魔だ!と言われたことのある人は多いんじゃないでしょうか。車椅子、ベビーカーってだけで邪魔って感じで舌打ちされることも稀にあります。僕は仕方ないやん!って思っていますが…。

脊髄損傷などをしていると、勝手に足などが動く“不随意運動”があるのですが、それを痙性(けいせい、痙縮(けいしゅく)とも)って言うんですね。貧乏ゆすりと同じような動きです。僕自身、以前、電車内で不随意運動で痙性が出てしまったときは、 “それ!鬱陶しいから止めてくれ!”みたいに言われたことがありました」 

――投稿が大きな反響で、みなさん経験を語っていらっしゃいます。

「朝起きてX見たら、びっくりしました!今って、障害に対してとかユニバーサル・デザインみたいなことにいろいろ取り組んでいますが、同じようなことを言われている人もいましたね。男性のその言い方はダメだよねって思っている人が多かったようです」

――印象に残っているコメントはあります?

「お子さんが障害をお持ちの方の“子どもが小さい時に、「いつまでそんなのに乗せてるんだ、歩かせろ」と言う人がいました。最近は小さい子に「あの人死んでる」といわれたのが一番傷つきました”というものも。

死んでるって…舌打ちされたり、邪魔って嫌な目で見られたり、障害持ってる人や車椅子乗ってる人を珍しいって感じで見たりってのは少なからずあると思いますけれど、“あの人死んでる”って言葉は、それはないだろって正直思いました。

親御さんも凄く傷ついたんだろうし、言われたお子さんに、その言葉が聞こえていたら、なにかしら感じただろうなと思いました。

僕自身は言われたことがありませんが、障害者は生きている価値なんてないって言われたことがあるというようなことも、Xで目にします。僕は結構ポジティブ人間なので、ネガティブなこと言われても、はい!はい!って感じで受け流します。でも、その言葉で心にめっちゃ深い傷を作っちゃう人もいるんだぞ! 言葉には気をつけろよ!って思います!!!」

――車椅子の人はクララではないという声もありましたね。

「アルプスの少女ハイジのクララですね! 車椅子=クララ、いつか歩けるみたいな認識なんじゃないか、無学って怖いってコメントですね。確かに僕はクララみたいには無理だ!今の医学ではって思ったけど、このコメントにはなんか笑っちゃいました」

パラスポーツのアスリートとして活動

――そもそも、YYさんが車椅子ユーザーになったいきさつは?

「今でもはっきりおぼえています。2016年の9月30日の事故がきっかけ。23歳のときでした。その半年前まで、僕はずっと夜職だったんです。夜職って本当にめちゃくちゃ大変な仕事で、昼の仕事の良さや大変さも経験してみようと思ったんです。

それで、現場仕事の屋根屋さんで働くようになったのですが、ある日の作業中に7メートル位のところから地面に叩きつけられて…。首の骨を折って神経も切れて右手首も折れて左足は大腿骨開放骨折までしました」

――そこからリハビリをして、今の状況に?

「入院生活はいろいろ大変でしたし、リハビリも努力しました。それがあったからこそ、今があるんだなって思ってます!昔は全然人も信用せず、なんでも一人でできると思っていたけれど、人に頼るようになったし、人間どんな人でも一人では生きていけないって思うようになりました。

今はたくさんの友達やチームメイトがいて、いろんな方の支えもあって、めちゃくちゃ楽しく日常生活をおくってます。友人にも顔が優しくなった、ほんと雰囲気変わったよねと良く言われます」

――スポーツは、以前から熱心にやっていたのですか?

「サッカーが好きで少しやってたくらいです。車椅子生活になってからの方がアクティブになった感じがあります。パラスポーツの選手は完全にサポートされてのアスリート雇用の人もいれば、半アスリート雇用で普通に仕事しながらアスリート活動をする人もいます。僕は、福祉の仕事をしながら、アスリートとしても活動。スポーツリハビリも含め、日々トレーニングをしてますね」

――どんな種目を?

「車椅子ソフト、車椅子ラグビー、車椅子バスケ、車椅子フェンシング、車椅子アメフトをやってます。あとは年に一回くらいカヌーに乗ります。障害があっても楽しめるスポーツっていっぱいあるんですよ」

――すごいアクティブに活動されているんですね。

「僕にとってのスポーツはかけがえのないもの!いろんなスポーツをやって、いろんな方と繋がって友達いっぱい作るぞーって感じです!人との交流が楽しいし、障害持っても身体動かすのは大好きです。少しでもパラスポーツに興味があったら、見学できる体験会や練習会があるのでぜひ。生で見ると結構面白いですし、迫力がありますよ!試合もいろんな地域でやっています。ぜひ見て欲しい!」

――今後の目標はあります?

「個人的には遠征などで費用がかかってくる部分があるのでスポンサーさんを大大大募集中です。何年かかるかわからないのですが、フェンシングで上に行きたい、頑張っていきたいと思っております!!」

◇ ◇

ポジティブな言葉しか出てこないYYさんは、「精神・知的・身体に障害を持っている人も必死に生きているのは、みんな同じ。一生懸命生きてるんです!めちゃくちゃ軽く言った言葉がすごい深い心の傷になっちゃう人もいるので、少し、ほんの少しだけ、この言葉を口にしてもいいのか?を考えて伝えてほしいって思います!思っていることでも、直接本人に言わなくていいやんってことあると思うので!」と言います。

また、車椅子の人や障害者に出会ったときも「うわー障害者!車椅子の人やー!みたいな感じにならないでほしい。みんながあなたと同じように動いたり、話したり、できるわけではないんです。それだけはわかってほしいです」。

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・宮前 晶子)

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