三毛猫の毛色決める遺伝子をついに発見 九州大名誉教授ら
毎日新聞 / 2025年1月11日 10時0分
白、黒、茶色(オレンジ)の3色からなる三毛猫の毛の色を決める遺伝子を、日本の研究チームが発見した。三毛猫はほとんどがメスで、毛色を左右する遺伝子が雌雄を決める性染色体に存在することまでは分かっていたが、具体的な遺伝子はこれまで見つかっていなかった。
多くの哺乳類は、性染色体としてオスがXとYを1本ずつ、メスはXを2本持っている。子には1本ずつ受け継がれ、性別が決まる。
猫の毛色を決める黒や茶色の遺伝子は、X染色体にのみ存在する。1本のX染色体上に黒や茶色の遺伝子は同時に存在しないため、X染色体を2本持つ個体が三毛猫になり得る。これが三毛猫や、黒と茶色の毛色を持つ「さび猫」のほとんどがメスである理由だ。
2本あるX染色体は体細胞内では片方しか働かないので、黒や茶色の毛が部位によってランダムに生える。白の遺伝子は、性別と関係ない染色体上にあるため、雌雄ともに白毛が生じる。この話は高校生物にも登場するが、どの遺伝子が毛色をつかさどるのかは不明だった。
佐々木裕之・九州大名誉教授(分子生物学)ら猫好きの研究者は「三毛猫遺伝子」を解明するプロジェクトを2022年に開始。クラウドファンディング(CF)で目標の2倍となる1000万円以上の資金を集め、動物病院を受診した飼い猫や、特定の飼い主がいない「地域猫」から血液や組織の一部を提供してもらい、三毛猫と、そうでない猫の遺伝子を比較するなどした。
その結果、三毛猫など茶色の毛を持つ猫では、X染色体上の「ARHGAP36」という遺伝子に、一部の塩基が抜ける変異(欠失)があることが分かった。欠失があると、黒い毛の色をつくるたんぱく質の量や働きなどが変化し、茶色になる。一方、欠失がないARHGAP36が働くと、黒い毛になるという。
研究成果は、プレプリント(査読前論文)として発表した。別の米国のチームも、同じ結果をほぼ同時に公表した。
佐々木さんは「ゲノム編集技術でARHGAP36を働かないようにした猫を作り調べることもできるが、負担を強いることになってしまう。遺伝子の働き方などまだ謎は残っているので、今後は猫のiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使って研究したい」と話している。【菅沼舞】
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