伝統工芸の大堀相馬焼 帰還困難区域に眠るうわぐすり原料石を採取
毎日新聞 / 2025年1月10日 18時33分
東京電力福島第1原発事故で帰還困難区域となった福島県浪江町の山中で10日、地元の伝統工芸「大堀相馬焼」のうわぐすりの原料「砥山(とやま)石」が事故後初めて採取された。各窯元は事故後、一般的な材料を組み合わせた代替品を使ってきたが、復興庁は将来的な利用再開の可能性を探るため放射線量や埋蔵場所を調べており、窯元に試作もしてもらう。
うわぐすりは、陶磁器などの表面に塗るガラス質の膜。大堀相馬焼では高瀬川上流の小丸地区などで取れる砥山石を江戸時代から使い、粉にして灰や水と混ぜて塗ってきた。砥山石特有の成分と絶妙な焼き加減でもたらされる独特の青みのあるひび割れ模様は、大堀相馬焼の特徴で、戦後は特に人気を集めた。
浪江町大堀地区には震災前20以上の窯元があったが、原発事故で避難を余儀なくされた。避難先で作陶を再開した窯元は複数の原料を購入・調合した代替物をうわぐすりに使ってきた。窯元のあった場所は優先的に除染されて昨春に避難指示が解除されたが、砥山石の眠る山は今も帰還困難区域の中にある。
復興庁は地元住民の協力で震災前の採石場所を特定し、鉱物関連の専門業者に採取を委託。一行は10日に同町小丸の県道253号から山中へ入り、枯れ沢の斜面で砥山石を発見。表面が放射性物質で汚染されている可能性があるため、現地で砕いて内側を持ち帰った。今後も採石し、約30キロを粉にして測定後、大堀地区に帰還した「陶吉郎窯(とうきちろうがま)」と避難先の白河市で作陶する「いかりや窯」に提供し、今年度中に使用感を報告してもらう。
いかりや窯の山田慎一さん(54)は「被災後は7種類の原料を調合してきたが、近年は一部の輸入がストップしたり高騰したりしている。本来の姿に戻せるのであればありがたい。国には新たに採石しやすい場所を見つけてほしいと要望している」と期待する。
震災前は窯元が地元業者に依頼して石を調達していた。陶吉郎窯の近藤学さん(70)は「実用化には新たな採石の仕組みや機材の導入といった課題がある」としつつ、「伝統工芸であるからには、安全性に問題がなければぜひ使いたい」と話す。
復興庁は、昭和後期まで大堀相馬焼の作陶に使われていた粘土も周辺の山中から試験採取する。砥山石と同じく2窯元に試作してもらうという。【尾崎修二】
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