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トラブル続発の熊本市電、組織内の根本的改革を 検証委が報告書

毎日新聞 / 2025年1月10日 19時1分

熊本市の大西一史市長(右端)に最終報告書を提出した検証委員会の吉田道雄会長(右から2人目)ら=市役所で2025年1月10日午前11時3分、中村敦茂撮影

 熊本市内を走る路面電車・熊本市電で2024年に運行トラブルが相次いだ問題で、市交通局が設けた有識者による検証委員会が10日、最終報告書をまとめた。組織的コミュニケーションの欠如やリスク管理の不徹底がトラブルの背景にあるとして、組織内の根本的な改革を提言した。

 熊本市電では開業100年に当たる24年、脱線事故や信号無視、ドアを開けたままの走行など計16件のトラブルが相次いだ。直近では、12月31日にも脱線事故が起きている。

 報告書は経営健全化を優先した結果、運転士の不足や職員の非正規化、設備の老朽化が進み、職員のモチベーション低下や施設の不具合を招いたと指摘。職員の正規化や安全対策チームの新設、計画的な車両・設備の更新などを求めた。一部は既に実施されている。

 また、運転士や管理職への聞き取りや全職員を対象にしたアンケート結果から、運転士が安全に関わる事案を報告しても上層部に届いていなかったなど、リスク管理が不徹底だったと分析。加えて上下間や部署間のコミュニケーションも欠如し、組織内の不信感がうかがわれるとした。

 その上で、相互の信頼感の醸成や部署間の風通しを良くすることなどを提言した。

 検証委の吉田道雄会長(熊本大名誉教授)は「組織内のコミュニケーションと、その前提となる信頼関係がかなり厳しい状況にある。対話を進めることがポイントだ」と話した。報告書を受け取った大西一史市長は「経営再建を重視したツケは大きい。新生の熊本市電を作っていく覚悟だ」と述べた。【中村敦茂】

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