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「復興の扉開ける」 能登の権祢宜、西宮神社の福男選びで開門役

毎日新聞 / 2025年1月11日 9時57分

「福男選び」のスタート地点になる赤門で、開門役の練習をする小林隼也さん(手前)=兵庫県西宮市社家町で2025年1月8日午後1時56分、稲田佳代撮影

 商売繁盛の神様「えべっさん」の総本社・西宮神社(兵庫県西宮市)で10日にあった恒例の開門神事「福男選び」に、能登半島地震の被災地から招かれた男性が「開門役」で参加した。スタート地点の大きな赤門を復興に立ちはだかる困難と重ね、「復旧復興への扉を開きたい」と大役に臨んだ。

 須受(すず)八幡宮(石川県珠洲市)の権祢宜(ごんねぎ)、小林隼也さん(31)=金沢市。福男選びを運営する「開門神事講社」講長の平尾亮さん(48)が「新たに被災した能登に力添えすることで、阪神大震災で受けた支援に対する30年の感謝を示したい」と招待した。

 小林さんは両親と暮らしていた石川県七尾市の実家が地震で半壊となり、2カ月以上断水したため公民館などで避難生活を送った。八幡宮は能舞台が全壊。本殿も地盤沈下した。今も参拝客の立ち入りを制限しており、復旧のめどは立っていないという。

 更地が増えていく能登の現状を思うと、最初は引き受けるか迷った。宮司らに背中を押され、「小さな自分が大きな門に向き合っているところを能登の人にも見てもらって勇気づけたい」と参加を決めた。

 10日早朝、小林さんは「能登」の文字と珠洲のシンボル・見附島(みつけじま)が描かれた法被姿で参加。東日本大震災で被災した宮城県女川町からの招待メンバーらとともに閉じた門を内側から押さえ、平尾さんの号令で開門した。

 開け放たれた門から大勢の人が境内に走り込むと、風のような勢いを感じたという。「自分を後押ししてもらえた気がした。多くの人に能登へ来てもらい、自慢の祭りを見てほしい」と語った。【稲田佳代】

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