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「時計の針を巻き戻して再生の道に進みたい」破産手続き中の船井電機前社長 親会社への民事再生法の適用申請

MBSニュース / 2025年1月10日 16時0分

「時計の針を巻き戻して再生の道に進みたい」破産手続き中の船井電機前社長 親会社への民事再生法の適用申請

 破産手続き中の船井電機をめぐり、8日付で親会社への民事再生法の適用を東京地裁に申請した上田智一前社長(51)。船井電機の破産手続きが始まっていることについては「全く予想しなかったことが起きている」として、「時計の針を巻き戻して再生の道に進みたい」と意気込みを語りました。

 9日、報道関係者の前に姿を現した船井電機・上田智一前社長。破産手続き中の船井電機の親会社「FUNAI GROUP」について、8日付で東京地裁に民事再生法の適用を申請したことを明らかにし、従業員への謝罪と再生への決意を口にしました。

 「従業員のみなさんにはご迷惑をおかけし、本当に申し訳なかったと思っています。とにかくなんとか元の道に戻したいと思っていますので、お力添えよろしくお願いいたします」

 申立書によりますと「グループ全体では約200億円の資産超過であり、組織のスリム化により適切に利益を出せる形で作っていくことは十分可能」としています。上田前社長は、社長を退任する直前の去年9月に、船井電機の親会社の経営権を持つ会社の株式を1円で東京の企業に譲渡していますが、この契約に違反があったとして去年12月20日、株式譲渡などを禁止する保全命令の仮処分を東京地裁に申し立て、7日後に保全命令の決定が出たことも明らかにしました。上田前社長の代理人を務める加藤博太郎弁護士は、譲渡した際の前提がほごにされたと指摘しています。

 「船井電機をしっかり経営していくという前提で株式を譲渡した。ところが即日にさらに別の会社に譲渡され、結果的に混乱して破産になってしまった。上田社長が退任したときには全く予想しなかったことが起きている。上田社長としては時計の針を戻して再生に取り組む。そこを先頭切ってやっていきたい」

 上田前社長側は譲渡先の関係者5人について、「詐欺容疑で大阪府警に相談している」としています。

▼液晶テレビで「世界のFUNAI」に

 1961年、ミシンの卸売業を営んでいた船井哲良氏が創業した船井電機。1990年代に入り、テレビとビデオが合体した「テレビデオ」で一世を風靡すると、2000年代には「液晶テレビ」の生産を開始しました。“高機能ではないが低価格で品質は悪くない”そんな特性が支持され、北米でトップシェアを獲得するなど、「世界のFUNAI」として一時代を築きました。

▼破産手続き開始に至った経緯

 しかし、その後は、中国企業などとの価格競争に敗れ業績は悪化の一途に。哲良氏が亡くなると創業家は外部の経営者に立て直しを託します。白羽の矢が立ったのがコンサルタント会社出身で、東京の出版会社「秀和システム」の社長を務める上田前社長でした。

 上田前社長は、大手・脱毛サロンを買収するなど事業の多角化を進めますが、去年9月に退任。そして、去年10月、創業者の親族で取締役の男性が、取締役会の決議を経ずに単独でできる「準自己破産」を申し立て、東京地裁がその日のうちに破産開始を決定する異例の展開になりました。船井電機で働いていた500人以上の社員は突如、職を失いました。破産の申立書などによりますと、本業の赤字に加えて巨額の資金流出があり、船井電機の債務超過は117億円に上るとされています。

▼船井電機の破産は止められるのか

 ところが、この破産手続きに「待った」をかけたのが、去年9月に船井電機の会長に就任したという元環境大臣の原田義昭氏でした。去年11月、MBSの単独取材に応じた原田氏。破産手続きの開始には驚きを隠せない様子でした。

 「(準自己破産に)びっくりしたのは事実。破産という形で、この名門の船井電機を終わらせるわけには絶対にいかない」

 原田氏は、手続き開始決定の取り消しを求めて東京高裁に即時抗告していましたが、去年12月26日付で抗告の申し立てを却下されました。却下した理由について、東京高裁は原田氏の立場に触れ、「9月27日の株主総会議事録では、原田氏が船井電機の取締役の地位にあることに疑義があることは否定し難い」としています。船井電機は現在、破産に向けて手続きが進められています。

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