「母の命令に従っただけ」霊園に92歳母親の遺体 71歳男は無罪主張 検察「遺棄前に下見…ホームセンターの砂をかけとんぼで整地した」

　去年、奈良市内の霊園に母親の遺体を遺棄した罪に問われた男の裁判が始まり、男は「埋めたのは母の命令に従っただけ」と無罪主張しました。

　起訴状などによりますと、吹田市のアルバイト従業員・蔵田隆一被告（71）は去年11月、奈良市内の霊園で母親の蔵田光さん（92）の遺体を遺棄した罪に問われています。

▼遺体は『体がほぼ土に埋まり』手首など一部出た状態

　当時、光さんの遺体は体がほぼ土に埋まり右手首と足の一部だけが出た状態で見つかっていました。

▼「母の命令に従っただけで故意ではない」

　21日に奈良地裁で開かれた初公判で蔵田被告は「埋めたことは認めます。ただ母の命令に従っただけで故意ではない」と述べました。

　また、弁護側は「習俗上の埋葬等とは認められない態様で、死体を放棄または隠匿する行為ではないため遺棄には当たらないうえ、故意はない」として無罪主張しました。

▼検察「ホームセンターで砂袋…遺体にかけたうえとんぼで整地し隠ぺい」

　冒頭陳述で検察は「被告は遺棄する前に現場の下見をしていて、遺棄した後に2度様子を見に行った」と計画性があったと指摘。

　そのうえで、「母親が死亡しているのを見つけると、車で遺体を運び、霊園で台車に載せ替え、区画まで運んだ。スコップで穴を掘り、ホームセンターで砂袋3つ購入し、遺体に砂をかけたうえ、とんぼで整地して隠ぺいした」と述べました。