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<若いブサイクがいない?>イケメンばかりでは日本のドラマはダメになる

メディアゴン / 2017年6月7日 7時30分

高橋秀樹[放送作家/日本放送作家協会・常務理事]

* * *

今、「醜男で25歳以下で芝居のうまい男優」を主人公にしたテレビドラマを日本でつくろうと仮定する。ジーっと考えるが、30年以上、放送作家としてテレビ業界におり、それなりに芸能界を知っているつもりの筆者でも、その名前が思い浮かばない。

ようは、この範疇に当てはまる男優が今、日本にはいないのである。

「若い醜男が主人公のドラマは作っても当たらない」という考えは狭量すぎるので無視して先に進める。例えば『電車男』(2005年・フジテレビ)は当たった。醜男の伊藤淳史はこの時22歳。こういう男優が今はいない。

今いる若い俳優は皆イケメンである。ジャニーズ、仮面ライダー出身、戦隊ヒーローもの出身、皆いい男である。これらのジャンルなら皆いい男でかまわないが、リアリティを求めるドラマでは醜男も欲しい。

濱田岳という男優がいる。西田敏行さんを継いで『釣りバカ日誌』でハマちゃんを演じている。背が小さくイケメンではない。ある番組で筆者は少年時代の濱田岳のオーディションに臨んだ。他の子役と比べて明らかに群を抜いて芝居がうまかった。こういう人材を日本の映画ドラマ界はもっと抱えるべきである。イケメンばかりではドラマの幅が狭くなる。

若いイケメン主演の場合は、芝居のうまい役者が脇を固めることも多いが、現在活躍しているこれらの役者はもう皆40を過ぎている。その結果、友達の醜男というキャスティングが出来ない。

25歳以下で醜男で芝居がうまい。そういう役者を探そうと、つとめて劇団の芝居を見に行くが芝居がうまいなと思う役者はもう若くはない。

【参考】<テレビはただのカタログ>リアルで稼げない芸能人は消える時代

若い役者は総じて芝居が下手だ。卓球の張本智和が13歳、将棋の藤井聡太が14歳だから、「若いからダメ」というようなことはないのは明かだ。若い者を育てるシステムが芝居の世界にはないのだ、と思わざるを得ない。結局、現在の若い役者は層が薄いのだ。

起用する方にもベストキャストをオーディションで決めるというシステムができあがっていない。たとえばアメリカのドラマや映画の出演者は皆、オーディションで選ばれる。

もちろん、芸人の世界から、醜男で、25歳以下で芝居のうまい人を選ぶ、というようなことも考えられる。だが、芸人には芝居が出来る人が少ない。マンザイの人は芝居になると特に、手足の置き所が決まらないのでつらい。

芸人にも役者向きの人がたまにいるが、そうなるとやはり年齢が上がってしまう。映画「間宮兄弟」に出演した時のドランクドラゴン・塚地武雅は、すぐれていい芝居をしているが、この時35歳。他にも、映画「みんなのいえ」でいい芝居をしたココリコ・田中直樹は30歳。映画「蛇イチゴ」に主演した雨上がり決死隊・宮迫博之は33歳。しかも、双方とも必ずしも醜男とは言い難い。

「芝居のうまい若い醜男」を芸人の中から探すことは他に難しい点もある。芸人はバラエティ番組などでプライバシーを切り売りして商売しているから、役者としては使いにくいのだ。例えばナインティナイン・岡村隆史などが出てくると、どんな役をやっても岡村隆史本人にしか見えない。

いづれにせよ、「醜男で25歳以下で芝居のうまい男優」が今の日本の芸能界にはいないし、今後も出てくる兆候はない。これは今後、日本のドラマを豊かに広げて行く上で、大きな障壁になるように思う。

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