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<2015メディアゴンはこう考える⑥「学校の教室」のIT化>3年以内にすべての教室に電子黒板が配置される?

メディアゴン / 2015年1月3日 2時0分

黒田麻衣子[徳島テレビ祭スタッフ]

* * *

ふだんはドラマ批評ばかり書いている筆者であるが、本業は国語教師。2015年のメディアを語るにあたり、今日は少しばかり指向を変えて、教育をテーマに論じてみたい。

幼い頃、娯楽を提供してくれる「魔法の箱」であったテレビが、実は「お勉強もできるステキなツール」であることに気づいたのは、NHK教育テレビ(現「Eテレ」)を、学校の教室でクラスの皆で視聴した時である。

筆者が小学生の頃は、全教室にテレビが設置され、道徳や理科の時間に、15分ほどの教育番組をみんなで見ていた。ミニドラマを見て話し合ったり、教室ではできないような実験映像を見て興奮したり。

地元徳島代表の池田高校が甲子園で大活躍をした時には、夏休みの登校日にクラスみんなで、教室のテレビで応援した。パブリックビューイングでのスポーツ鑑賞(と応援)に興奮するのは、この幼少期の原体験があるからかもしれない。

ともあれ、録画ではなく、リアルタイム視聴の公共放送を授業に取り入れるのは、時間割編成のみならず、授業進度までOA予定に合わせなければならないわけで、今、自分が指導者側の立場に立って考えると、大変であっただろうなあと思う。

あれから、およそ30年。児童・生徒にとっての「魔法の箱」は、テレビからスマホやタブレットへと大きな進化を遂げた。リアルタイムでなくとも、好きな時間に好きなものを視聴することもどんどん可能になってきている。

そう遠くない未来、テレビ放送そのものが、視聴時間を自分で選べる時代になるのだろう。テレビ局の編成部がコントロールするのは、OA時間ではなく、配信時間になってくるのかな、と想像する。世の中は、どんどん「進化」しているのに、学校の「教室」という場所は、まだまだ「昭和」の薫りがぷんぷんする。

生徒の教材は紙媒体が主流だし、先生は相変わらず、チョークの粉を被りながら、毎時間、黒板にカツカツと文字を書いている。2014年、もっとも時代から取り残されている「学校」の「教室」にも、ITの波は遂に容赦なく押し寄せてきた。文部科学省は、平成26~29年を『教育のIT化に向けた環境整備4か年』と位置づけ、次のように発表した。

 「21 世紀にふさわしい学校教育を実現できる環境の整備を図るため、第2期教育振興基本計画(平成25年6月14日閣議決定)で目標とされている水準の達成に必要な所要額を計上した「教育のIT化に向けた環境整備 4 か年計画(平成26~29年度)」に基づき、平成29年度まで単年度1,678億円(4年間総額6,712 億円)の地方財政措置が講じられることとされています。」

具体的には、次のようなものに税金が投入されるらしい。

・教育用コンピュータ1台当たりの児童生徒数 3.6人

1.  ①コンピュータ教室40台
2.  ②各普通教室1台、特別教室6台
3.  ③設置場所を限定しない可動式コンピュータ 40台

・電子黒板・実物投影機の整備(1学級当たり1台)
・超高速インターネット接続率及び無線LAN整備率 100%
・校務用コンピュータ 教員1人1台
・教育用コンピュータに搭載する学習用ソフトウェアの整備 等

・ICT支援員の配置 等(情報処理技術者委嘱を含む)

 「昭和」の時代はテレビがあった場所には、現在、パソコンが配置されるようになった。3年以内には、すべての教室に電子黒板が配置されるらしい。

「学校の教室」は、向こう3年でまったく別の風景になるらしい。果たして、現場の教職員が、それに対応出来るのか。甚だ疑問である。メディア関係者には、ぜひ、教室のIT化を支援するコンテンツの制作にご協力願いたい。

かつて、筆者が胸躍らせたNHK教育テレビは、Eテレに改名した後も、教育番組を作り続けてくれている。以前は教師が自前で録画をしなければならなかったものが、今は、ネット上の『NHK for School』サイトにおいて、アーカイブス化してくれてある。ここのオンデマンドは、無料で閲覧できる。

また、番組のアーカイブスだけではなく、ゲームや電子黒板教材などもどんどんコンテンツを増やしてくれている。文部科学省サイトの『教育の情報化』サイト内には、教育用コンテンツ集がある。YouTubeなどを探せば、もっと多くの教育用教材映像があるのであろうが、まだまだ教育現場に持ち込むには、工夫が必要だ。

ITに強い先生方と教育産業がタッグを組んで、デジタル教科書を始めとするIT教材を制作しているが、まだまだ現場に浸透する状況にない。3年前には、『日本デジタル教科書学会』が発足し、授業でのICT活用の実践研究を積んでは発信しているが、あと3年で、日本のすべての教室で電子黒板を使いこなす授業の実践など、とうてい夢物語に思えてならない。

全生徒へのiPad支給なども実施が始まっているが、メディアリテラシー教育など、現状に教育が追いついていない部分も多く、課題は山積だ。

今なお、「学校に携帯電話を持ち込んではならない」「授業中に携帯電話は使用してはならない」という校則をもつ学校が大半である。一方で、授業では積極的にiPadを使わせろ、と言われる。誰でも気軽に、簡単に、全世界に向けて情報発信ができるようになった現代において、子ども達に確かなメディアリテラシーを身につけさせることは、社会の急務である。

電子教材も、まだまだ圧倒的に足りない。現場の声を十二分に反映した、本当の意味で「使える」教材コンテンツを増やしていかないといけない。「使えるコンテンツ」とはどのようなものか。私は、「便利すぎない」「親切すぎない」ことも一つの視点であると思っている。

映像は、とてもステキなコンテンツだ。「わからないこと」が一瞬で氷解する場合がある。しかし、それは同時に、生徒の思考力や想像力の育成を阻害する危険性も孕んでいる。想像力をかき立てる素材、思考を助ける教材なら、子ども達の学びはより深く、より広くなる。好奇心を育むことができる良質なコンテンツが増えれば、子ども達の学びは大きく変わる。

例えば、国語科の私としては、ドラマの脚本と映像が、心情を育む授業に、コミュニケーション能力を鍛える授業に大いに役立つと考えている。そういったコンテンツの教材化も考えてほしい。メディアに生きる人々は、メディアのプロだ。餅は餅屋。

やっと教育現場が「現代」に追いつく4カ年だからこそ、この4カ年は、メディア界と教育界がタッグを組んで、良質の教育コンテンツを生み出していかねばならないと、私は考えている。同時に、メディアリテラシーを育てることに心を注ぐ必要があるとも思う。

その先にあるのは、きっと生徒たちの笑顔が輝く、楽しい学びのある教室の姿であると、私は信じている。

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