いつの間にこんな格好良くなってた!? 帰ってきたオペル、日本のラインナップを全部見せ【外車のススメ】
MōTA / 2020年7月28日 10時30分
2020年3月、ドイツ・オペルが日本への再上陸を発表しました。どんな車種が導入されて、どこで買うことができるのでしょうか。 >> そこで今回は気になる「新生オペル」についてまとめてみました。
新生オペル、どこで買えるの? いつから買えるの?
以前は日本にも正規輸入されていたドイツの「オペル」。戦前の1927年から販売を開始した由緒正しき輸入車メーカーで、1990年代に輸入元がヤナセとなった際、ピーク時には年間3万8千台以上を売り上げたこともあります。その後、ヤナセから輸入権を得たGM日本法人による価格見直しなどで販売数が減少したため、残念ながら2006年に日本市場から撤退してしまいました。そして時は流れて2020年3月。プジョー・シトロエン傘下に2017年から入っているオペルが、日本への再上陸を発表したのです。
まずは東名阪エリアからスタートし、2023年頃までに全国展開へ
1931年にアメリカのGM(ゼネラルモーターズ)の完全子会社になったオペルは、長年GMグループの一翼を担ってきましたが、2009年のGM破綻によって、GMはオペルブランドを手放すことになりました。そして2017年3月、プジョー・シトロエンを擁するグループPSAがオペルを買収……という経緯を経て現在に至ります。そのため、オペルの日本再発売は、基本的にPSA主導で進むことになっています。
まずは東名阪の主要都市を中心にオペルの販売拠点を開設。続けて2023年頃までに、全国各地の都市にオペルディーラーを展開すると予定です。そのため、PSAの日本法人・グループPSAジャパンでは、既存のプジョー・シトロエンディーラーを活用したオペルの販売網構築も進めているようです。
PSAの発表では、日本でのオペル発売開始は2021年夏以降とのこと。日本を含め、世界中が新型コロナウィルスの影響を大きく受けてしまいましたが、オペルの日本再上陸がスケジュール通りに進むといいですよね。
ラインナップにはSUVやカングーのライバルとなるモデルも
前述の通りオペルとGMの関係は深く、「GMの欧州部門」的なポジションを担ってきたため、従来のオペル各車はGM系技術で設計されていました。しかしグループPSAに入って以降は、ベース技術がプジョー・シトロエンに移行しており、日本導入が予定される新生オペル3車種は、PSA傘下で開発されたモデルのみを予定しています。その理由は、新しいオペルがプジョー・シトロエンと共通の部品や設計を共有しており、部品供給体制やメカニックの教育などに大きなメリットをもたらすためです。
では、さっそくその3車種を見てみましょう!
一世を風靡したコンパクトカー“オペル ヴィータ”が帰ってくる!
日本では1995年に発売開始したコンパクトカー「ヴィータ」は、シンプルでセンス良いデザイン・豊富な安全装備と戦略的な価格で、日本でもヒット作となりました。実はヴィータは日本名で、本当の車名は「コルサ」。日本では2代目コルサ(コルサB。オペルでは伝統的にモデルチェンジごとにアルファベットが進みます)と3代目コルサ(コルサC)がヴィータとして販売されました。ちなみに初代コルサも「100i/130GT」として売っていましたね。
これまでコルサの名前が使えなかったのは、そう、以前トヨタに“コルサ”というクルマがあったため。日本再発売となるコルサは、どんなネーミングになるのでしょうか。
本国ではEV仕様も存在、日本仕様はどうなる!?
現行型コルサは2019年登場の6代目・コルサFです。当初はオペル=GM主導で開発が進んでいましたが、オペルがPSA傘下入りしてから、プラットフォーム・エンジンを含めほとんどがプジョー・シトロエン系技術ベースに変更されています。日本に入ってくるグレードは未定ですが、本国では1.2リッターガソリン、1.5リッターディーゼル、さらにはEV(電気自動車)がラインナップされていることから、ひょっとしたらEV版も用意されるかもしれません。カングーに強敵現る! 売れ筋ミニバン「コンボライフ」
屋根が高くスライドドアを備えた、いかにも使い勝手の良さそうなミニバンが、日本導入予定の「コンボライフ」。このカタチを見て「カングーに似ている」と思ったら正解です。コンボライフは欧州では「フルゴネット」と呼ばれるジャンルに属しますが、日本ではカングーの独壇場となっているのはご存知の通りです。「プジョー リフター」「シトロエン ベルランゴ」の兄弟車
コンボライフは、すでに日本先行上陸を果たし、これから本格的な発売を開始する予定の「プジョー リフター」「シトロエン ベルランゴ」とともに、カングー包囲網の一翼を担う重要な車種になるでしょう。こちらも日本仕様のパワーユニットなどは未定ですが、プジョー リフターとシトロエン ベルランゴの仕上がりが上々なだけに、とても楽しみな一台です。
コンボという名前は聞きなれないですが、オペルでは1980年代以降のフルゴネット型商用車の車名として採用しています。そのため、日本にやってくるコンボは5代目のコンボEにあたります。コンボEは本国や欧州では商用仕様として販売。乗用仕様がコンボライフというネーミングになります。
コンパクトSUV「グランドランドX」は、このクラスの台風の目になるかも?
3台目は、全長4.4mほどのCセグメントSUV「グランドランドX」。プジョー 3008、シトロエン C5エアクロス、DS 7クロスバックなどと共通のプラットフォームで開発されています。ライバルは同門の兄弟モデルのほか、トヨタC-HR、日産 エクストレイル、マツダ CX-5、三菱 アウトランダーなどの強敵が控えています。 兄弟車のプジョー3008、シトロエンC5エアクロスに4WDモデルの設定がないように、通常のグランドランドXにも4WDは用意されていません。しかしPSAの「アドバンスドグリップコントロール」の走破性は定評がありますので、これがグランドランドXにも搭載されれば、高い悪路走破性が期待できるでしょう。グランドランドXも日本仕様の詳細はまだ明らかにされていませんが、3008との差別化のため、欧州市場向けに存在するプラグインハイブリッド版(こちらは4WDを搭載)の導入があるかも? などと期待してしまいます。
オペルってどんなメーカーだったの?
少し古いクルマファンなら、「オペルといえばGM」という図式は、当たり前のように染み込んでいました。さらに、日本でもおなじみのメーカー・いすゞもかつてはGM傘下にあったのです。初代「いすゞ ジェミニ」はGMの国際戦略車「Tカー」として開発され、「オペル カデット」の3代目(カデットC)などの兄弟車で、2代目となるFFジェミニも、GMが持つ様々なブランドに向けて数多くの兄弟車を有しました。そうそう、初代「いすゞ アスカ」もGMの「Jカー」だったので、オペルでは「アスコナ(3代目・アスコナC)として販売していました。
なじみのあるオペルといえば、小さい順から前述の「コルサ=ヴィータ」、ゴルフのライバルだった「アストラ」、アスコナの後継車で良質なセダン「ベクトラ」、BMW 5シリーズやメルセデス・ベンツEクラスと戦った「オメガ」「セネター」などが思い出されます。この記事を読んでいる人の中にも、「乗っていた」「親が乗っていた」「まだ乗っている」という元オーナー・現オーナーがいるかもしれません。GMの手を離れてPSAによって生まれ変わろうとしているオペル。日本への再上陸を楽しみに待ちたいと思います。
[筆者:遠藤 イヅル]
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