アルファロメオ・ステルヴィオで368個のコーナーを曲がってみた!
MotorFan / 2018年7月28日 9時0分
アルファロメオ初の本格SUV、「ステルヴィオ」がついに日本に上陸した。 ヨーロッパ屈指の峠道に由来を持つネーミングを与えただけあって、 開発陣はその運動性能には絶大な自信を持っているという。 それではと、早速ニッポンのステルヴィオ峠に繰り出したのである。 TEXT&PHOTO●小泉建治(KOIZUMI Kenji)
アルファロメオがSUVを作るからには……
アルファロメオ初のSUV「ステルヴィオ」がついに日本上陸を果たし、長野県は軽井沢でメディア向け試乗会が開催された。もはやSUVはスペシャルな存在ではなく、ひとつのカテゴリーとしてメインストリームにすらなりつつある。それはコンパクトからハイエンドに至るまでクラスを問わずに起きている現象で、そんなSUVを求める市場の強い声に対するアルファロメオの回答とはいかなるものなのか、クルマ好きならほとんどの人が注目しているに違いない。なにしろ戦前から続く珠玉のスポーツカーブランドなのである。
まず実車を目の当たりにして思うことは、想像していた以上にSUV感が希薄だということ。スポーツカーとは言わないが、5ドアのスポーツサルーン、もしくは巨大なホットハッチといった風情で、アウトドアやオフロードの気配は微塵も感じられない。アルファロメオがわざわざSUVを作る意味を彼ら自身がよく理解していることの表れだ。
プラットフォームはスポーツサルーンのジュリアと同じ「ジョルジオ・アーキテクチャー」で、サスペンションも基本的にジュリアと同じである。もちろんセッティングは変更されている。着座位置は190mm、最低地上高は65mm高くなっているが、ロール軸の角度はジュリアとまったく同じである。
フロントオーバーハングはクラス最短の859mmで、これが身をかがめた動物のようなスタイルの演出に効いていると思われる。ホイールベースはクラス最長の2820mmだ。Cd値は0.30と、これもSUVとしてはトップクラスに入る。
軽快感に溢れ、すべての動きにタメがない
走り出してみると、なにしろ重量を感じさせないことに驚かされる。エンジンフードをはじめボディ各所にアルミニウムを使い、カーボン製ドライブシャフト(!)を採用するなど徹底して軽量化に取り組んだとはいうものの、それでも1810kgという車重は一般的な感覚では軽いとは言い難い。
だがこれだけの車重を持ち、200mmというロードクリアランスを確保したSUVとは思えないほど、すべての動きにタメがない。それは駐車場から通りに出る瞬間から感じ取れた。
一応、試乗会の推奨コースは中軽井沢のホテルから白糸ハイランドウェイを巡るものとなっていたが、かつて北イタリアのステルヴィオ峠をロータス・エヴォーラで攻めたことがある筆者としては、白糸ハイランドウェイとステルヴィオ峠は似ても似つかないと言わざるを得ない。目指すはニッポンのステルヴィオ峠、碓氷峠の旧道だ!
いよいよニッポンのステルヴィオ峠へ!
そんなわけでやってきました碓氷峠の旧道です。ご存知の方も多いかと思うけれど、ここはとにかくタイトでツイスティなワインディングロードで、多くの人は南側を並行して走っている碓氷バイパスを選ぶ。とりわけステルヴィオのように全幅が1.9mを越えるようなSUVでここを走るのは苦痛以外のなにものでもない、はず。
当然ながら最初はゆっくり慎重に走る。だが前述の通り、その慣性を感じさせない身のこなしと、思いのほか掴みやすい車両感覚に背中を押され、じわじわとペースが上がってくる。
そして前走車がまったく現れないことにも助けられ、気がつけばまるでホットハッチのような感覚で運転を楽しんでいる自分がいた。
いや、正確にはホットハッチではない。確かにサイズ感はホットハッチのようだが、ハンドリングのナチュラルさは明らかに後輪駆動スポーツカーのそれだ。
なにしろ前後重量配分は50:50で、前後トルク配分は基本的にフロントが0、リヤが100……つまりFRなのである。だからコーナーの出口でアクセルを多少無遠慮に踏みつけても、ステアリング操作がトルクに影響されることがない。あくまで必要が生じたときだけ、フロントに最大60%のトルクが配分される。
12:1というクイックなステアリングレシオも、もはやSUVとは思えない。ドライバーの目の動きとノーズの向きが連動しているかのようで、タイトターンをまるでスキーでも楽しんでいるかのように気持ちよく駆け抜けられるのだ。
エンジンもただでさえフラットトルクな特性を持っているうえ、ATが8速もあるから常にパワーバンドを維持し続けられる。動力面でも1.8tもの車重を意識させられることはない。
碓氷峠の旧道を往復し、合計で368ものタイトコーナーをクリアしても、まったく疲労感はなかった。むしろ残っているのは高揚感だけ。
結論づけるなら、「運動性能にも不満のないSUVを作ったのではなく、ただひたすら優れたスポーツカーを作った。しかしスタイルだけは“SUV風”である」といったところだ。
ニッポンのステルヴィオ峠を走り抜けたステルヴィオは、期待していた以上にリアルなスポーツカーだった。SUVらしく悠然と流すのは、ことによると難しいかも知れない。
アルファロメオ・ステルヴィオ ファースト・エディション
全長×全幅×全高:4690×1905×1680mm ホイールベース:2820mm 車両重量:1810kg エンジン形式:直列4気筒DOHCターボチャージャー 総排気量:1995cc 最高出力:206kW(280ps)/5250rpm 最大トルク:400Nm/2250rpm トランスミッション:8速AT フロントサスペンション:ダブルウィッシュボーン リヤサスペンション:マルチリンク タイヤサイズ:255/45R20 車両価格:689万円
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
レクサス新型「“MT”スポーツカー」に熱視線! 「シャコタン×ツライチ仕様」にしたらどうなる? 300馬力超え「爆速ターボ」&豪華内装採用する「LBX」カスタムの可能性とは?
くるまのニュース / 2025年1月5日 18時10分
-
全長4.2mで6速MT! レクサス「小さな高級車」に「304馬力のスポーツ仕様」登場! 高性能「ターボ4WD」×上質インテリア採用! 「LBX RR」は“現代版ホットハッチ”か?
くるまのニュース / 2025年1月4日 11時10分
-
トヨタ新型「カローラ」登場! 2年ぶり“顔面刷新”&走行性能強化の「4WDスポーツカー」! 新8速ATも楽しそうな「新GRモデル」豪国で666万円
くるまのニュース / 2025年1月4日 7時30分
-
【アルピーヌ A290 海外試乗】日本導入は2026年!初EV「A290」は近未来のホットハッチだった…南陽一浩
レスポンス / 2024年12月26日 12時0分
-
【ヨコハマタイヤ アイスガード7 /SUV試乗】走りを“愉しめる”スタッドレス、20年以上も支持されるには理由がある…中三川大地
レスポンス / 2024年12月25日 19時30分
ランキング
-
1年末年始に困った「女性の不調」、1位は?
マイナビニュース / 2025年1月10日 19時3分
-
240歳から運動不足解消は何から始めたら良いの?
JIJICO / 2018年3月30日 7時30分
-
3俺はまだまだ現役だ!年金月26万円・65歳の元営業本部長、ノリノリで再就職したが…日本年金機構から送られてきた〈年金カットの通知〉に怒り「あまりにひどい」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月10日 7時45分
-
4「30年物の和式トイレ」も改修できず…350万円を市民から集めた地方大学の雄に「どれだけお金ないのよ」の声
プレジデントオンライン / 2025年1月9日 16時15分
-
5精神疲労で固まりがちな身体をケアする方法 胸椎や胸骨を柔らかく保つと自律神経が整う
東洋経済オンライン / 2025年1月10日 7時10分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください