1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. IT総合

iCONMなど、コロナ用mRNAワクチンの副反応を取り除いた新ワクチンを開発

マイナビニュース / 2024年4月5日 14時58分

画像提供:マイナビニュース

ナノ医療イノベーションセンター(iCONM)、東京都医学総合研究所、東京医科歯科大学(TMDU)、杏林大学、NANO MRNAの5者は4月3日、現行の新型コロナウイルス用mRNAワクチンにおいて強い副反応を起こす要因の1つとなっていた、不安定なmRNAを「脂質性ナノ粒子」(LNP)にくるんで人体に投与する手法から、LNPを必要としない「裸のmRNA」の皮内投与技術を開発し、マウスやカニクイザルでのワクチン効果の実証に成功したことを共同で発表した。

同成果は、iCONM 内田ラボの内田智士ラボ長/主幹研究員(TMDU 難治疾患研究所 教授兼任)を中心とした共同研究チームによるもの。詳細は、遺伝子導入など細胞ベースの治療法に関する全般を扱う学術誌「Molecular Therapy」に掲載された。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対しmRNAワクチンは有効性を示したが、その一方で短期間の開発による、重篤なものを含めた比較的強い副反応などの課題が顕在化している。副反応は数回程度の接種なら許容できても、今後も幾度となくCOVID-19に対するブースター接種が予想されており、ほかの感染症へのmRNAワクチンの適応も考えると、生涯にわたって数十回は接種できるような、より安全性の高いものが必要となってくる。

副反応の原因の1つがLNPで、それを構成する脂質は免疫刺激性を持つほか、投与部位から全身に漏出し、肝臓や脾臓などにおいて炎症反応を起こしてしまうことが問題だ。しかしLNPワクチンは、(1)分解を防いで細胞内に効率的にmRNAを送達する、(2)リンパ節に移行して免疫細胞にmRNAを送達する、(3)免疫刺激性脂質に起因する炎症反応が免疫系を刺激するなど、作用上の重要な機能も有する。そこで研究チームは今回、LNP無しでそれらを再現するため、最もシンプルで安全な設計である裸のmRNAの投与を検討することにしたという。

まず(2)に関して、現在のワクチンの接種部位である筋肉組織には免疫細胞がほとんど存在しないことから、より豊富な皮膚組織が標的とされた。

さらに(1)を補うために、圧を用いてmRNA溶液を細胞内に送達できるジェットインジェクター(JI)を用いることにし、実際にレポーター試験の結果、mRNAの皮膚組織内への送達効率が100倍以上に向上したことが確認された。しかもmRNAは投与部位に留まり、LNPのような全身性の炎症反応はなかったという。また投与部位の炎症反応については、LNPでは炎症細胞の浸潤や壊死が見られるが、裸のmRNAでは軽微だったとした。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください